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2014年7月 2日 (水)

自由律歌集『介護のうた』堀田節夫 角川学芸出版

「短歌は口語で書こう、思ったことはずばり述べよう、五七五七七のリズムに

とらわれない、一行でも五行でも、自分の暮らしを、おおらかにうたおう」(著者 あとがき)

の、自由律短歌である。

自由律短歌といえば、前田夕暮なども一時、作品化しているが、定型に戻っている。

                             

    怒って話したんでは
    判って もらえぬ と
    判って いながら
       どなりとばしてしまった


    認知症は
    患者が二人になる という。
    ーー患者当人と
       介護する人とーー

    一切口(くち)をきかず
    朝めしの支度だけは する
       老いて妻の
       抵抗のかたち か これは。

    「行ってらっしゃい」とは云わぬ。
    「早く帰って来い」と云う。
        老妻(つま)の 朝な朝なの
        俺を送ることば。

    3から5へ
    介護資格の昇級だが
       まちがっても
       めでたい なんて 云うな。

    「そこのおじさん」
    と俺を呼ぶ。
       あなた とか
       お父さん とか
       呼べない 介護5の認知症。



65歳位から鬱病を患い、20年近く認知症だった著者のつれあい(妻)を
詠んだ歌。なんだか身につまされる歌の数々、
おもしろうて、やがて、かなしい『介護のうた』であった。



妻を詠んだ歌より、対象が父親だと、少しゆとりが…


   「六十歳か よう育った」
   と父がのたまう
   「八十三までよう生きました」
   と応じ返す。

   ごりんじゅう は
   まだか
       と わめき 給う
       父の往生際 おだやかで ない。
 
     

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