« 歌集 『薫染』 九條 武子   實業之日本社 | トップページ | 梅干(うめぼし) »

2014年8月29日 (金)

葛の花

マメ科つる性の多年草。むかしは根を用いて葛粉にしていた。太めの総状花序を

立てて、蝶形をした紅紫色の花をつけ、甘い芳香を発する。


26日につくつくぼうし(法師蝉)の声を聞き、もう夏も終わりだなと思っていたら、
昨日、葛の花を見た。電車の中からだったので、匂いを感じることはできなかったけど、
あの紅紫色の花が目に焼きついた。



    神なびのみむろの山のくずかづらうら吹きかへす秋は来にけり
                     『新古今集』(巻四 ニ八五)中納言家持
 


    葛の花 踏みしだかれて、色あたらし。この山道を行きし人あり
                           『海やまのあひだ』釈  迢空



家持の歌は、葛の葉が裏側を見せている。ああ、風が渡っているのだと、
吹く風に秋を感じている。(葛の葉の裏側は遠目に見ると、白みがかっている。)
一方、迢空の歌は、散ってしまった花殻に視点が。まだ紅紫色の鮮明な花殻。
踏まれた花殻に、この山道を誰かが通ったのだと知る。



ともに、色彩感のある歌だが、わたしは次の俳句が好きである。

    わが行けば露とびかかる葛の花   『海燕』橋本多佳子


多佳子の句を、「女でなければ作れぬ句で、いや女であっても、自分の内奥を
しっかりとみつめ、しかも自己愛の強烈なひとでなければ生み出せぬ作品…」と、
評したのは、宮尾登美子。



秋になると思いは深まる。
しかし、1日1日のたつのがなんと早いことか。
 
 
 

« 歌集 『薫染』 九條 武子   實業之日本社 | トップページ | 梅干(うめぼし) »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/2032066/57214871

この記事へのトラックバック一覧です: 葛の花:

« 歌集 『薫染』 九條 武子   實業之日本社 | トップページ | 梅干(うめぼし) »