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2014年8月 6日 (水)

『水のなまえ』 高橋 順子  白水社

さまざまな「水のなまえ」を、万葉集や短歌・俳句・詩などから掬いあげ

みずみずしい文章で綴った一冊。


「とらえがたい水を追って、季節の水のすがた、文学をうるおしてきた水、
水をめぐる思惟や伝承、旅の水などについて書き下ろしたものである」(「あとがき」)


たとえば「末期の水」では、原民喜の「水ヲ下サイ」一連の詩、小説「夏の花」を
取り上げている。
(ちなみに今日、8月6日は「広島平和記念日」なので、孫引きだが、紹介しよう。miyoko)


    水ヲ下サイ
    アア 水ヲ下サイ
    ノマシテ下サイ
    死ンダハウガ マシデ
    死ンダハウガ
    アア
    タスケテ タスケテ
    水ヲ
    水ヲ
    ドウカ
    ドナタカ
     オーオーオーオー
     オーオーオーオー
    ーー中略ーー


この『水のなまえ』には、たびたび「連れ合い」といった呼称が出てくる。
「連れ合い」とは、作家の車谷長吉である。2人で世界一周のピースボートの
船旅に参加したり、四国八十八ケ所の霊場を77日間かけて巡拝したり、
仲がよろしいこと。


でも、船旅では、詩人の新藤涼子と連詩を作り、四国巡拝では、短歌を物して
いる。やはり、モノカキはスゴイ。


   吉野川木枯童子吹き荒るゝ潜水橋に水はとどかず   高橋 順子


潜水橋というのは、じっさいに川が流れている低い位置に架橋され、増水時には
沈んでしまう橋である。沈んだときに流木などが引っかかって川の水がせき止め
られないように、欄干もなく、短い橋なので、建造費が抑えられるという。

吉野川では「潜水橋」と呼び、四万十川では「沈下橋」と呼ぶことを知った。
わたしが渡ったのは、もう20年も前のこと。


   薄青き夕靄のなか歩みきて佐田沈下橋ふたり渡るよ  『ひかり凪』miyoko
 
 

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