« 初紅葉 | トップページ | 「大分青南短歌新聞」 第199号 平成26年10月号   »

2014年10月 9日 (木)

道浦 母都子 『光の河』 潮出版社  2014年10月

ヒロシマ、チェルノブイリ、そして福島を舞台に展開する物語。

歌人、道浦母都子の長編小説である。



エッセイ、紀行文、評伝などを手がけ、業(なりわい)とする湯浅遙子。
遙子は、大阪府の最北部の丘陵、千里ニュータウンに住んでいる。


学生時代以来の再会で、広島に住む佐伯周平と出会う。
物語はそこから始まる。


「愛してもいいかしら」
不意にそんな言葉が出た。言葉を発した遙子自身が、あまりの突然に
驚いていた。


1947年生まれの佐伯は「被爆二世」、甲状腺ガンを病んでいる。
3度の手術をし、いままた4度目の手術が……
その佐伯との逢瀬によって、「核」の歴史に翻弄された人たちが登場し、
遙子の過去が語られる。



ドクター、村上史郎との10年以上の結婚生活の破綻、
着のみ着のままで家を出た遙子。
    (人と人との最後の別れの過酷さを描写している部分には悲しみよりも、
     人間の奥深い業(ごう)を感じた。)


1945年8月6日8時15分、広島に原爆が投下された。

1986年4月26日午前1時23分、チェルノブイリ原子力発電所の爆発事故。


2011年3月11日、東北を襲った地震と津波、加えて、福島第一原子力
発電所で起こった事故。


チェルノブイリへは、取材のために訪れた、そこで見たもの。
広島、チェルノブイリ、それを体験した遙子は福島に行かなくては、と決意。
自らの使命のように、南相馬の斎藤さんを頼りに福島へ。



     西暦二〇一一年三月十一日午後二時四十六分それより
     行方不明のわたくし


終章は、「人生は旅。人生は誰でも渡る橋」 
遙子は、ガンジス河のほとりにある聖地、ベナレスへ向かう。
生きるとはなにかーー死とはなにかーー



      著者  道浦 母都子(みちうら・もとこ)
 
           歌人。1947年和歌山県生まれ。
           1980年『無援の抒情』出版
           同歌集にて、第25回現代歌人協会賞受賞
           著書に『百年の恋』『歌日記 花眼の記』など多数。
           最新歌集は『はやぶさ』砂子屋書房 2013年12月刊
 

« 初紅葉 | トップページ | 「大分青南短歌新聞」 第199号 平成26年10月号   »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/2032066/57622128

この記事へのトラックバック一覧です: 道浦 母都子 『光の河』 潮出版社  2014年10月:

« 初紅葉 | トップページ | 「大分青南短歌新聞」 第199号 平成26年10月号   »