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2014年10月14日 (火)

歌集『逝きし者のやうに』 江田 浩司  北冬舎

「讃歌と愛惜の作品集」という帯が付いている。

帯文は、
「固有の時を生ききった尊崇する先人への讃歌と愛惜の思いが溢れる…略」とある。



塚本邦雄・山中智恵子・中川幸夫・村松友次先生・荒川修作さん・父などを哀悼する
歌の数々で構成されているが、ことに山中智恵子に寄せる歌は万感籠っている。


     琅玕(らうかん)の銀河を詠ひ飽かざれば星神(ほしがみ)となれ智恵子よ智恵子
     
     朝羽振り夕羽を振りて三輪山の空翔(か)けたまへ炎(ほむら)なす魂(たま)

     水沢(すいざは)の智恵子は鳥を友とする 神霧奔(はし)る言葉(ロゴス)なる身に



江田さんがこれほどまでに山中智恵子が好きだったとは、露知らなかった。

前歌集の『まくらことばうた』の歌を読んだ時に感じた、伝統的な歌の格調、
言葉の美しさ、そして、詩魂の豊かさをこのたびも感じることができた。


     雨を濡らす雨のささやき尽きるなし邦雄とともに詩魂は逝けり

     
     邦雄亡く智恵子も亡くて青闇(せいあん)の世に詠み継ぐはそぞろなるかな


500首近い歌が江田さんのまことの心を映し出している。
論客としても、つとに有名な江田さんだが、歌もまた〈艶〉がある。


     やがて来るその日に備へ感情を遊ばせてゐる青葦原(あをあしはら)に


     霧雨に山鳩鳴けりわがめぐり浄(きよ)きところの拓(ひら)けゆくらむ

     川野辺の草のふくみし露光り傷のごとくにあはれ静けし

     夕闇に光をふふむ枇杷の実は誰(た)が魂を吐きしにあらむ


     坂の上たなびく雲は天恵を受けつつあらむ雷すぎしのち

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