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2014年11月22日 (土)

散文集『樹上の猫』 北村太郎   港の人

新聞連載のコラムなど、エッセイを中心に童話や掌編小説を収めている。

この散文集は、1992年10月26日に亡くなった北村太郎の7回忌にあわせて

1998年10月に刊行されたもので、「墓地の人」の詩の朗読のCD付き。



タイトルが『樹上の猫』だけど、猫のエッセイばかりではない。
集中、阿部昭の短歌について触れた「阿部昭ーー阿部さんの短歌」がある。
阿部昭が『挽歌と記録』の書を出し、その中に本人が作った短歌を183首収めて
いた驚きが書かれている。そして、その「あとがき」の言葉を記す。


 
        文章にかかずらっていると、人間を書くことの不幸にきりなく
        はまり込んで行くように感ずるものだが、反対に所謂短詩形の
        文学からは、人生の表現について何か幸福な錯覚のような
        ものを与えられるのかもしれない。



北村太郎は「阿部さんの詩心が最晩年、短歌の形で実を結んだ不思議さ」と書く。


今日は、「墓地の人」の朗読のCDを聴いた。
形式ばった朗読ではなく、バックに幼子の声などのノイズ入りのものだが、
いかにも北村太郎らしい、優しく親しみやすいものとなっている。



その朗読を聴いたことだし、『北村太郎の仕事 1 全詩』(思潮社)をぱらぱらと
捲る。詩集『港の人』も全て収められてあり、ちょっと好きなフレーズを抜き書き
してみた。


        12
 
        とくににんげんは
        たましいのぶんだけ体重が加わっているから
        抱きあっても
        ただの重さではない
                     ーー略

        31

        手帳に書いた予定の日が
        かならず来る
        世の中に
        これくらい恐ろしいことはない
                       ーー略
 
 
        


        

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