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2014年12月23日 (火)

短歌同人誌 「穀物」 創刊号

「創刊の辞」もなければ「後記」も掲載されていない創刊号である。

同人紹介欄によれば、1988〜1991年生まれの若者たち8名で結成されている。

先ず、誌名の「穀物」がいい。五穀豊穣を思い浮かべるし、漢字2文字のかっちり感が

シンプルな装丁と相俟って、豊かな実りを喚起させられる。





              鳥の宴         小原 奈実

    あぢさゐの球ふかくまで差し入れてわたくしといふ手の濡れそぼつ

    窓鎖して朴の花より位置高く眠れり都市に月わたる夜を



 
 
       葦毛の時        濱松 哲朗
 
    読みさしの詩集のやうに街があり橋をわたると改行される
 
    声はもう焼け跡だから 仕舞つてもいいよやさしい晩年なんか



      ひかりごけ       廣野 翔一

    俗事 その合間合間に眺めたる街並みひかりごけの如くに

    iPhoneを探れば鳥の影があり呟くために影に触れたり





とりあえず、3名の歌を採り上げてみた。

小原奈実は、文語・旧仮名遣いの伝統的な手法に加え、若い感性が煌めく。
「あぢさゐの」歌は、多少自愛めくが、こういった感覚はだいじにしたい。
「位置高く眠れり」で、背後事情を読者に想像させるのは手柄。下の句の
据え方も決まっている。



濱松哲朗の歌は、背伸びもしていないし、表現に無理がない。(このひとの歌が
いちばん好きかも…) 「橋をわたると改行される」というフレーズは、濱松の発見
であり、濱松だけの言葉だろう。そういえば、次の廣野と共に濱松も「塔」に在籍
していた。


廣野翔一は、どちらかと言えばアララギ風 ?  こういった詠風は、この先、
行き詰まらないと思う。社会に出て働きはじめたばかりの歌に、へんな
気負いがなく、淡々とうたっている。1首目の「俗事」がやはり必要な言葉なのかと
思ったが、それがあるために、下の句が生彩を放っているのだろう。



    ほほえまずあなたはそっと見限って、また一瞬のまぶしさになる
                         小林 朗人「光がつつみ残すもの」

    こころは鍋ひたすら恋は煮崩れて焦げつく友情があるばかり
                         山階  基 「ちゃら」


小林朗人の恋する想いの吐露がさわやかであり、山階基の歌は、句跨りながら
勢いがあり、ハートを感じさせる。



などと、好き勝手なことばかり書いてしまった。
そのうち、闇討に遭うやも知れませぬ。

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コメント

ご無沙汰しています。読んでくださってすごい嬉しいです。

頑張っていることが伝わってくる同人誌創刊でした。
「2つのテーマによせて」にも触れたかったのですが、わたしの
時間切れでした。来年、次号をお待ちしています。

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