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2015年2月22日 (日)

映画「悼む人」  監督 堤幸彦

2008年に直木賞を受賞した、天童荒太の『悼む人』の映画化。

ストーリーは、静人(高良健吾)が不慮の死を遂げた人々を悼むため、

日本全国の旅をしている設定。その静人の旅に同行するのが倖代(石田ゆり子)。

倖代は、夫を殺した過去をもつ。



静人がそのような旅をするきっかけとなったのは、祖父の死の記憶の薄らぎ、
そして、親友の命日を忘れたことのショック。
おそらく、誰が考えてもそのようなことで、いままで関わりのなかった他人の死を
悼んで全国を旅するだろうか、との疑問も残るが……




それはさておき、この映画でたえず繰り返される、死者は「誰に愛され、誰を愛したか、
どんなことをして人に感謝されたか。」がキーワードのようでもある。




      忘れずに、思い出すことで、その人は生き返る。

      亡くなった人を忘れずに大切に思うこと。



印象的だった場面は、椎名桔平の父親(上條恒彦)が死にその通夜?に
集まった友人たちが母親の経営するバーで遺影を前にしてみんなで
中原中也の詩を唱和するところだ。



        汚れちまつた悲しみに
        今日も小雪の降りかかる
        汚れちまつた悲しみに
        今日も風さへ吹きすぎる




雑誌記者(椎名桔平)は、中也の詩を愛するような父親を軽蔑していた。
父親の危篤にも駆けつけなかった。親子の確執が長く尾を引いていたのだ。
しかし、いのちの最後の力をふりしぼって父親が書いた「会いたい」の文字を
亡くなってのちに知る。
        
この映画を観終えてもっとも印象的だった場面は、余命いくばくもない、静人の母親
(大竹しのぶ)がベッドから手をさしのべ雑誌記者(椎名桔平)の頭を撫でてあげた場面。
その手の動きに思わず泣いてしまった。



末期癌と闘いながら無償の愛を息子の静人に捧げる母親(大竹しのぶ)。
静人のいちばんの理解者でもあったのだ。


ストーリーが重層的に絡みあって、難解な部分もあるが、観賞者の感受性に
訴えかけるようでもある。




なんだか人生に挫折している人、近しい人を亡くした人、心の乾いている人は、
この映画を観たら、少しやさしくなれるかも知れない。

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