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2015年2月13日 (金)

歌集『水の夢』 春日真木子  株式会社 KADOKAWA

「夢とはひとつの意志の持続との感を強くしました。そしてまた夢とは、

私にとって祈りでもあるのです。」あとがきに書かれたことばがなんとも

匂やかで美しい。



        若冲の蕪を夕餉の鍋に入れ養はむかな夢見る力

        水甕の底にとろりと映れるは百年前の朝焼けならめ

        十年を花なき現し身寂しめど今日傍らに人の在ること

        われにまだ健やかな足いつぽんの在りて登らな天上までを

        標高千米遊休農地の蕎麦啜る この一年をさらりと生きて



1首目の歌は、伊藤若冲(いとう じゃくちゅう)の蔬菜図の蕪(かぶら)で
あることが、この歌の2首前の歌から理解できる。


2首目の歌は、歌集のなかほどの「水系」の章の1首。長い詞書が付されて
いる。「あをあをと潮(うしほ)のごとく水張らむ備前火襷今日の水甕」の歌など
備前焼きの水甕をうたいながら、おのずと結社「水甕」を想起させられる。


3首目の歌の「花なき現し身」は、いかようにも解釈できよう。そのさまざまな
解釈によって、この歌は更に広がりを見せる。


5首目の結句「さらりと生きて」がなんとも羨ましい。
春日さんのお姿は写真でしかお見かけしたことがないのだが、着物姿が
華やかであり、且つ、内に秘めたつよさを感じたりもしている。





この歌集を読んでいると、どのページを開いても「春日真木子」だなと、
納得する。そういえば角川書店の『短歌』2015年2月号にも巻頭作品31首
「今日のてのひら」が掲載されていた。31首の大作を、「さらりと」作ったり
しているのだろうか。




ともあれ、このブログでもう1度『水の夢』を続けたい。

まだまだ紹介したい歌ばかりなのだ。

                        この項つづく…

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