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2015年3月16日 (月)

『石原吉郎全集』 花神社  1979年12月〜1980年7月

石原吉郎の詩集『禮節』(1974年1月刊 サンリオ出版)に「世界がほろびる日に」

の詩がある。この詩は全集に収めた時に『禮節』の「節」の字を旧字の9画に変えている。

         (この旧字がパソコンで出てこないために『禮節』のままに紹介するが…)

引用したのは、全詩集から。






         世界がほろびる日に      石原 吉郎


      世界がほろびる日に

      かぜをひくな
 
      ビールスに気をつけろ

      ベランダに

      ふとんを干しておけ

      ガスの元栓を忘れるな

      電気釜は

      八時に仕掛けておけ







たとえ世界がほろびる日が来ようとて、わたしたち個人個人の生活は、
ほろびるその日まで平常に持続される、いや、持続しなければという
せつない思いが託されている。何があろうとも、今の生活、今まで在った
生活を持続したい思いは、痛切である。





この詩を読むと、東日本大震災(原発事故)で余儀なく避難しなければならなく
なったひとたちのことが思い浮かぶ。その日まで、その時間まで、平常に持続
されていたふつうの暮らしが、断ち切られてしまったのだ。




「…略 わたしはこの詩を買いません。あまり図式が明快すぎてシニカルな
ユーモアも吹き飛んでいるからです。…略」(『石原吉郎』清水 昶 国文社刊 昭和50年)

という評もあったが、わたしは後出しジャンケンみたいで申し訳ないが、やはり、
この詩は詩史に残る ?  石原吉郎の代表作になるのではないか、と信じる。




石原吉郎は、ことばに対しても、その表記に対しても細かなところまで
後年、改作しているが、先にあげた詩の3行目の「ビールスに気をつけろ」は、
初出は「ウィルスに気をつけろ」であった。


そして、評論やエッセーに頻出する「シベリヤ」は「シベリア」でなく、
「シベリヤ」と、表記している。一部「シベリア」の表記を使っているのも
あるが、それは出版の際に編集部に同意してのことらしい。
石原としては、あくまで「シベリヤ」なのだろう。




                              (いつの日か、つづく ? )

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