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2015年3月15日 (日)

『石原吉郎全集』 花神社  1979年12月〜1980年7月

石原吉郎は、敗戦後の昭和20年の冬から、昭和28年の冬まで抑留され、

その期間のほぼ半分を囚人として、シベリヤの強制収容所で暮らしている。


その間の強制収容所体験が始まるのは帰国後のことだとも書いている。

強制収容所の凄まじい現実の中で、疲労し衰弱しきっている時には、およそその

現実を〈体験〉として受け止める主体など存在しようがない……とも。




      八年の間見てきたもの、感じとったものを要約して私が得たものは、
      政治というものに対する徹底的な不信です。政治には非常に関心が
      ありますけれど、それははっきりした反政治的な姿勢からです。人間が
      告発する場合には、政治の場でしか告発できないと考えるから、告発を
      拒否するわけです。……略



そして、告発しないという決意によって、文学にたどりつくことができ、その経験を
文学的テーマに昇華したのだ。


この全集は三冊揃いで、まだⅡの評論集と、Ⅲの対談集の部分だけを読んだに
過ぎないが、読んでいくうちに、ひりひりした感覚に襲われる。それは、いやな感じ
ではなく、精神の高揚というか、禊をしているような感覚、とでも言おうか。




      私は 告発しない。ただ自分の〈位置〉に立つ。

      一度でよい。立ちどまって、そして自らに問え。

      なぜーー自分はこうなんだと、自分に問うことを忘れてはいけない。
      その問いにたとえ答えることはできなくても、問う姿勢には最後の
      意味があるのだから。



1977年11月14日、急性心不全にて自宅で入浴中に死去、翌日発見される。
享年62歳。


                                        (つづく…)

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