« スモークツリー(煙の木・霞の木) | トップページ | 多事多端 »

2015年5月24日 (日)

『野村望東尼』 小河扶希子  西日本新聞社

「女流勤皇家」として名高い野村望東尼の実相に迫った一書。

本書は「西日本人物誌」シリーズの№19にあたる。

江戸時代の末期、福岡が生んだ野村望東尼(のむら・もとに)1806年~1867年は、

武家政治が揺らぐ中にあって、「詞(ことば)の道(みち)」を歩いた女性文学者。

著者が「はじめに」として記しているのは、


     彼女が生きた背景がまさに幕末の激動の時代であったがために、
     「勤皇歌人」などと、特定の枠の中で評価されることが多い。


として、疑義を呈している。

     第一章   野村望東尼の前半生
     第二章   世情に翻弄される後半生
     第三章   望東尼の文学


の、三章の構成であるが、第二章が興味深い。と、言うのも、1865年福岡藩は、
望東尼を含む39人の身柄を拘束し、望東尼は女性の身でありながら、幽閉
され、姫島(現・糸島市志摩町)流罪を言い渡されるのである。



その姫島の囚屋(ひとや)は、畳はなく板敷であった。そして明かりもなく、夜は
真っ暗闇になってしまう。そんな中で望東尼が書き綴ったのが獄中記『夢かぞへ』
であり、『ひめしまにき』であった。



小河のこの書は読みやすさに心を配り過ぎたためか、短歌(和歌)まで新仮名遣いに
していることである。この時代の表記のまま、旧仮名遣いにして欲しかったと思う。



まぁ、それは兎も角として、手にとり読んでほしい。
2008年4月刊行 1500円+税

      


 cat   cat
            
今から25年ほど前、わたしは姫島を訪れた。望東尼が入っていた囚屋を
この目で確かめたいと思ったからである。その時の拙作が以下である。



               島への遡行 -野村望東尼-
       
       
       此の島に流謫の身なりし十ケ月の蟄居思へどおもひ見難し

       灯火なき囚屋(ひとや)の女人 一八六五年慶應元年がこと

       『ひめしまにき』読みゆく夜の窓を打つ風は激しき雨伴ひて

       幽閉の望東尼(もとに)つらぬきし志うべなふわれや海光のなか
            
             『夢の器』 ながらみ書房  1992年6月刊  miyoko
 
      





« スモークツリー(煙の木・霞の木) | トップページ | 多事多端 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/2032066/60111338

この記事へのトラックバック一覧です: 『野村望東尼』 小河扶希子  西日本新聞社:

« スモークツリー(煙の木・霞の木) | トップページ | 多事多端 »