« カボスジュース | トップページ | 秋明菊もかなしむ »

2015年9月28日 (月)

新装版『無援の抒情』 道浦母都子歌集  ながらみ書房

1980年、雁書館から出版された『無援の抒情』が新装版として、ながらみ書房より

このたび刊行された。

1980年といえば、今から35年前。

このたびの新装版は解説を故・桐山襲が書いている。

これは岩波同時代ライブラリーの解説を使ったものと「あとがき」に記されている。

今から35年前とはいえ、その抒情はちっとも古びていない。

「三十五年前の抒情が、今に伝わるかどうか、それは解からない。」と、道浦は弱気な

ことを記しているが、そうだろうか。

抒情の質は時代によって変わるのか、そんなことはないと思いたい。

1980年に出版された『無援の抒情』と2冊並べて、今夜は35年前のことをあれこれと

思い出している。


「われらがわれに還りゆくとき」のはじめの「隊列」の8首を。



      迫りくる楯怯えつつ怯えつつ確かめている私の実在

      「今日生きねば明日生きられぬ」という言葉想いて激しきジグザグにいる

      催眠ガス避けんと秘かに持ち来たるレモンが胸で不意に匂えり

      スクラムを解けば見知らぬ他人にて街に散りゆく反戦の声

      稚き手白き手選びてビラ渡すその手がつかむものを信じて

      たちまちに雪にまみれて冷ゆるビラ和平遠のく街にまきゆく

      リーダーの飲み代に消えしこともある知りつつカンパの声はり上ぐる

      会議果て帰る夜道に石を蹴る石よりほかに触るるものなく









新しい読者をきっと得ることだろう。そうあってほしいと希う。


                                  本体1852円(税別)

 

« カボスジュース | トップページ | 秋明菊もかなしむ »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/2032066/61814431

この記事へのトラックバック一覧です: 新装版『無援の抒情』 道浦母都子歌集  ながらみ書房:

« カボスジュース | トップページ | 秋明菊もかなしむ »