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2016年1月25日 (月)

「岸辺のない海ーー石原吉郎ノート」 郷原 宏  季刊 未来

未來社(短歌結社でなく、出版社)の、「季刊 未来 2016年1月1日発行」(PR誌)を

ぱらぱらと捲っていたら、あら、たいへん石原吉郎のことが書かれている。




本誌10ページにも及ぶ郷原宏氏の重厚な評論である。

わたしは「詩」のことは門外漢(笑)なので、しっかりと理解はできないのだが、

それでもマーカーを引き引き読んだ。






       略ー昭和二十年(一九四五)八月に始まる日本の戦後は、

       石原にとってはまだ戦中だった。


というのも、石原吉郎がスターリンの死去にともなう特赦により重労働二十五年の

刑を解かれ、引揚船「舞鶴」で帰還したのは、昭和二十八年(一九五三)十二月だった

からだ。その十二月二日まで大日本帝国陸軍に属していたことになる。自筆年譜

十二月三日には下記のように記す。





       午後、東京、東北、北海道方面向けに編成され、舞鶴駅を出発。

       駅頭で日共党員が「諸君を待つものは、ただ飢餓と失業だけである」と

       演説し、激昂した帰還者の手で袋だたきにされる。






そして、この事件について石原吉郎はその後なにも語っていない。

そのことについて郷原氏は次のように記している。




       略ーすなわち石原がそこに見たものは、言葉はそのままでは決して

       他人には伝わらないという酷薄な現実だった。正確であればあるだけ、

       言葉は人を傷つける。しかし正確でなければ、言葉で自己を表現する

       意味がない。ーー略





まだ、まだこの考察は続くのだが、全てが郷原氏の引用になってしまうので、

このへんで閉じる。

この文章のタイトルは、たぶん石原吉郎のシベリア・エッセイ『望郷の海』から

とられているのだろう。「岸辺のない海」って、なんだかものがなしい。





ともかく読んでほしい。大きな書店に行けばこの冊子はいただくことが出来る。

川上未映子さんがいつだったか、石原吉郎のエッセイのことを朝日新聞紙上で

語っていたが、この「岸辺のない海」は、読んでくれたかなぁ。

 

 

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