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2016年2月 9日 (火)

『そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります』 川上未映子  講談社文庫

なが~いタイトルの本です。

未映子さん(へんに馴れ馴れしい呼び方で御免)の地のエッセイというか、

日記風に綴られたもの。

ともかく面白い。面白過ぎて、<いっき読み>してしまった。






関西弁が妙にリアルで、かてて加えて、今風な言葉遣いというか、

文体には魂消てしまった。

しかし、これは中毒になりますねん。(真似?してみた)






もっと読みたい、もっと読みたいと思っているうちに「奇跡っつうぐらいのもんで」の

章になって、あと一つで終わってしまった。


でも、面白いだけではないのが、未映子さんなのだ。

「瑞々しい感性と卓越した表現」なのは勿論だが、哲学的な個所が折々ある。


        「精神よ、黙って体についていって下さい」




     略ー逃げる場所がない自意識という伴侶の人生からは逃げることが

     出来ない。生きるべきか、死ぬべきか。なんて言葉はときどき実際は、

     老いるべきか、死ぬべきかということなのだろう。生きるということは、

     そのまま老いることでもあるからであって、自分が論理的に死ぬことは

     出来ないと判っていても、老いの場合はどうよ。老いというそのものも、

     死と同じく触ることが出来ないが、(それも単なる言葉だから)体験して

     いるということの事実。ひぇ。今、ということしかないのなら、この老いと

     いうものはいったいなんであるのか。自分の死はいつも彼方にしかなく、

     それが私を捉えることは出来ないのにもかかわらず老いは今ここに

     あるこの事実!ひぇ。二十八歳の体は老いている。どっこい確実に

     老いている。めらりめらり老いている。それでどうなっていくというのだ

     ろうか。 略ー









我武者羅に引用してしまった。ひぇ。(真似)

「めらりめらり老いている」なんぞと、28歳の未映子さんに言われてしまったら、

このわたしなんぞは「めらりめらり」どころか、どないに言うたらええねん。





わたしよ、「頑張れ、いつか死ぬ」







講談社文庫 2010年7月1日 第5刷発行  本体524円(税別)


どうぞ、お手にとられて<いつき読み>なさってくださいませ。でも。(この「でも」も真似)











     

     

     

    

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