« 『那珂太郎 はかた随筆集』 福岡市文学館選書  海鳥社 | トップページ | 「つばきまつり」  石橋文化センター »

2016年3月15日 (火)

『森岡貞香歌集』 現代短歌文庫  砂子屋書房

『白蛾』・『珊瑚數珠』・『百乳文』が全篇収められている。

そして、歌論・エッセイが12篇。

このたび『白蛾』を読み返していて、なんだか泣いてしまった。

「汝」や「少年」の歌は、せつない。





戦争に敗れ、中国派遣から還った夫の急逝。

病弱な身に夫の忘れ形見である一児を抱え、あの荒廃した時代を生きねばならなかった

森岡貞香。

それゆえにと言おうか。子を詠むことによってかろうじて己を律することもできたのでは

ないだろうか。





       うしろより母を締めつつあまゆる汝は執拗にしてわが髪乱るる

       拒みがたきわが少年の愛のしぐさ頤に手触れ来その父のごと

       力づよく肉しまり来し少年のあまゆる重みに息づくわれは

       月に照り枯生のやうな古畳さみしき母と坐らぬか子よ

       ふとん寄せて母の寝床に片足のみ入れてねる汝よわが触れてやる

       死顔に触るるばかりに頬よすればさはつては駄目といひて子は泣く

       ねむる子のかたへにわれもねむらなむ燈を消す際の赤き赤き頬

       つくづくと小動物なり子のいやがる耳のうしろなど洗ひてやれば

       還り来て子の少年を見しときぞ門吹く風にふくれし汝が髪

       近よりざま足からませて来し吾子に胸とどろかせわれはつかまる






「汝」・「少年」を詠んだ歌を抄出した。(「乱」「触」「来」などは旧字)

自身の子に対して、「少年」と詠んだのは森岡貞香が最初だった?と、誰かが

書いていたような……




現代短歌文庫もこうして全篇読むことが出来るのは有り難い。

        

                              2016年3月4日発行  2000円+税







cat     cat

森岡さんの歌をいっきに読んだために、ふと思い出した歌。


       花の芽と葉の芽の違ひをうたひたる森岡貞香の歌をあぢあふ

                                   『暦日』より



自分で詠んでおきながら、森岡さんのどの歌だったのか、今となってはわからない。

昨夜は『少時』や『帶紅』のページを捲ってみたがそれらしい歌が出て来ない。

『暦日』の刊行が2012年だから、それ以前の森岡さんの歌から触発されて作った

のだと思うが、わからない。(は~い、わたし無責任です(苦笑))

わからないので、胸のなかがモヤモヤして次の仕事に手がつかない。



午前中も調べていたが、まだ不明。

どなたか教えてくださ~い、なんて言ったら虫がよすぎるかしらん。




       

 

 

 

 

« 『那珂太郎 はかた随筆集』 福岡市文学館選書  海鳥社 | トップページ | 「つばきまつり」  石橋文化センター »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/2032066/64460982

この記事へのトラックバック一覧です: 『森岡貞香歌集』 現代短歌文庫  砂子屋書房:

« 『那珂太郎 はかた随筆集』 福岡市文学館選書  海鳥社 | トップページ | 「つばきまつり」  石橋文化センター »