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2016年7月22日 (金)

橋の名前

中川佐和子さんの歌集に『霧笛橋』(角川書店 2007年9月刊)がある。

さいしょ、「霧笛橋」って、中川さんの想像上の橋かと思った。




      霧笛橋過ぎて諦めをふりこぼす切り岸に似るこころ定めて

                               『霧笛橋』より




この霧笛橋は、横浜の海を見渡せる丘の上の「港の見える丘公園」にある

橋で、大佛次郎記念館から神奈川近代文学館へ渡るために架かっている

実在する橋である。






「霧笛橋」って、なんて抒情的な名前なんだろうと思った。

たしか、大佛次郎の『霧笛』から頂いて、橋の名前にされたらしいが……

先日の歌会で思いがけない橋の名前が出てきた。

わたし自身が忘れてしまっていた橋の名前「リーボーン橋」。

Nさんがわたしの歌にあった「リーボーン橋」を覚えていて

作ってくださったのだ。



しかし、この橋は実在しない。

実在しないというより、実在するのは「リボン橋」で、リボン橋では可愛過ぎる

ので、わたしが少しモジって「リーボーン橋」として、うたったのだ。



もう、40年も前のことだけど、「花街橋」というタイトルでわたしの連作が

「未来」に掲載された。この橋も実在しない。実在する橋の名前があまりにも

即物的だったので、この時はあえて「花街橋」と飾ってみたのだ。

この橋には、後日談がある。

「未来」のKさん(つい先日お亡くなりになられた)が、福岡に出張で訪れた時

に、この橋を探しまわったそうだ。タクシーの運転手さんにも訊ねたけど、な

かったとか……

調べれば即わかるのに、現在のようにインターネットも普及していなかった

頃の話である。

作者であるわたしに問い合わせることもなく、探したのだって。







まさか、虚構の「花街橋」とは思わなかったのだろう、ね。



ごめんなさい、ごめんなさい。

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