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2016年7月 7日 (木)

森鷗外の『沙羅の木』を読む日  岡井隆 幻戯書房

歌誌「未来」2013年8月号〜2016年4月号に掲載したものを収録している。



100年前の詩歌集の作品を1篇1篇ゆっくり読み、知らない言葉の語訳を辞書等を使って試み、文語の詩歌を口語訳する。そして、著者なりの評価を
下すという作業。

こうして書けば簡単だが、この連載をはじめたのがすでに85歳を越えていたことを思う時、その情熱のありようと、エネルギーの源を探りたくなってくる。




しかも、著者のこの作業が実に丁寧で、淡々と行われており、その文章の
いたるところに著者の日常の声音が潜んでいたりする。

       鷗外という多面体の人物は……(著者自身も多面体ともいえる。)



       それにしても鷗外の活動意欲はおとろえていない。相変らず西欧 

       の文化、作品への興味も深い。……(まさに、著者もその一人)

       折々にひらめいた処世訓めいた感想……(著者の『けさのことば』  

                                        はその典型)

の、ように、あちこちに見逃せない言葉が並んでいる。



さて、この書を読むのは心静かなときがいい。急ぎの仕事を抱えている時に読むと、書かれていることを咀嚼できない。(ということを、実感した。)

そして、今わたしは第九章の「鷗外と与謝野晶子の交流」のところまで読み進めている。「うなゐ子」という単語を調べるところから、少年か少女かの考察、そして、万葉集の「童女放髪(うなゐはなり)」へ。

さらに、『夏より秋へ』の詩歌集の三十四番目の詩に辿り着く。
このあたりが、もっとも佳境?

        詩歌のような余分なもの、(、、、、、ルビ)あってもなくてもいい
        ものをわざわざ書くとき、人はまず「どうしてもそれを書きたい」
        という自発的な動機におそわれる筈なのである。

と、帯に書かれている惹句に辿り着く。

ともかく、心静かな時に、


       森鷗外の『沙羅の木』を読む日     を、読むべし。   






                         2016年7月10日  3500円+税

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