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2016年10月26日 (水)

『筒井富栄全歌集』 六花書林

平成12(2000)年7月に亡くなられた筒井富栄氏の全歌集。

息子である村田馨氏(「短歌人」所属)が、十七回忌のために( ? )編まれた

もの。筒井氏は昭和5(1930)年生まれだから、享年70歳。






昭和31(1956)年、「近代」に入会、加藤克己に師事する。

引き続き「個性」に入会。

この全歌集は、筒井氏の45年の歌業の集大成である。

500ページに近い厚さの全歌集で、まだ殆ど読んでいないのだが、

後半の「歌人論」が目茶目茶面白い。

面白いといういいかたは語弊があるが、今読んでもちっとも色褪せて

いなくて、こういう書き手が居たのかと、自分の不勉強を思い知らされた。





筒井氏の『十人の歌人たち 同時代作家論』より3本選んで収められている。





          小池 光  君よ片目をつぶらないか

          岡井 隆  現代の妖術師

          馬場あき子 今生のこと見えてしまわん


この、「小池光」の章を読んでいたら、角川の『短歌』11月号の角川短歌賞

選考座談会の言葉を思い出してしまった。つまり、「主語の混乱」などは、

小池さんにとっては、いやなんだよね  ? 。(笑)


        小池がその歌集のあとがきで、「多くはぼくにとって作歌すると

        いう行為が、あのバルサ材をけずり、みがき、接着していった

        行為とほとんど重なっている。」と思い、「つまりぼくは歌を

        〈作って〉きたのである。」と言い、「歌をうたったのでもなく、

        詠んだのでもなく、歌を作ったのである。」と断定していることに

        注目せねばならぬだろう。



「岡井隆」の章も、昭和60(1985)年以前に書かれたものとはいえ、今、引用

してもちっとも違和感がない。




 

        作品中の「われ」と、彼岡井隆とを、どのように重ねるか、つまり

        同一視するか否かという問題がある。




        岡井隆が書いたシナリオを、本人が演じている。というところでは

        なかろうか。



        歌壇につねに問題を投げかけ、若手歌人を扇動する岡井は、

        やはり現代の妖術師であろう。






と、いうことで、肝心の短歌は、これから、じっくり読むことにしよう。





「加藤克己門下として、モダニズムの系譜に連なり、重き時代の抵抗と

しての〈軽短歌〉を提唱。あざやかな口語、軽やかな詩想を追求する。」

                                   帯文 より

                 2016年10月27日 初版発行   3000円+税

        

 

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