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2016年10月24日 (月)

『半人半馬』 野田光介歌集 短歌研究社

昭和10年生れ、「やまなみ」選者の2冊目の歌集。

タイトルは、「自転車に半人半馬号と書く人間半分やめたくなりて」の

集中の1首に拠る。





   サウナから水風呂に入りまたサウナどう生きるのかまた迷い出す

   川原に暮れゆく尾花晩節を少し汚して生きるて(、)もある

   震えつつ詩魂は来たれ丑みつの万年筆にインクを満たす

   逆年順の歌集編みたし読むほどにだんだん若い樹になるような

   花束を貰ったことが三度ある寝た上に置かれたことはまだ無い

   老人性と付ければ何となく分る湿疹に鬱、恋患いも

   「お客様の中に歌詠みさまは居ませんか」一度言われてみたきものなり

   腕組みをしていては歌は作れない否つくれるかどうするカボス



きわどいなぁ、と思いつつ、それでも面白そうな歌を抄出した。

作者は「あとがき」で「湿潤は詠まぬ、と基本的には思っている」と述べて

いる。従って、短歌にありがちな湿潤な世界を拒んでいるのだろう。





2首目、「晩節を少し汚して生きるて(、)もある」(「て」には傍点あり)とは

いえ、結果的に汚してしまうのが「晩節を汚す」ではないだろうか。

「汚すて(、)」もあるから汚すのではなくて…





5首目、下の句の「寝た上に置かれたことはまだ無い」とは、柩の中の

ことかしら ?  寝た上に花束を置く、なんてことはあってはならないし、

もし、置かれるような状況なら、もうこの世のひとではないみたいな。


7・8首目は「歌」に関わる歌だが、「きわどいなぁ」と思う。

その際どさは、たぶん私的に言えば、面白く作り過ぎているということかしら。





「軽薄なことも敢えて避けない」とも「あとがき」に書かれているので、

作者は先刻承知の上での手法であろうか。

何でもないような歌のなかにある味わい、わたしはそういう歌が好きだ。

たとえば、次の2首のような。





    野を行けば今朝の雲雀は良いひばり聞こえる方の右耳に鳴く

    白き雲流れゆくなり 雲梯を這って渡ったこと一度ある



   

                        平成28年10月1日   2000円+税







cat      cat

昨日の日曜日は、Rethink Books での「福岡でも鳥肌が」の穂村弘さんの

イベントに行った。穂村さんの話には引き込まれる。

「目が遠い」とか「まばたきをしない」なんて話題は穂村さんらしい ?



終って後ろを見たら、「あれぇ」と、お互いに声を漏らした。

いま「時のひと」のT さんが来ていた。

電話でも歌会の時にもこのイベントの話はしていなかったのに、揃って

来ている、だなんて……

 

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