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2016年10月17日 (月)

『綴られる愛人』井上荒野  集英社

映画監督の行定勲氏が読了して思わず「映画化決定 ! 」と叫んだという書。

井上荒野の小説は、読者をぐいぐいと引っ張り込む。

読者は、凛子であり、クモオと化して、愛の坩堝にいつのまにか

放り込まれる。




小説家の柚(ゆう)は35歳。航大(こうた)は、大学生の21歳。

この2人が名前や年齢や住んでいる所も伏せて、「綴り人の会(文通コミュニ

ティ)」を媒介として交際が始まる。





柚(ゆう)は凛子28歳となり、航大はクモオ35歳のサラリーマンとして

登録し、綴り人の会を通して手紙のやり取りが始まる。

交際といっても文通だけの、架空の世界である。従って実際の年齢も

境遇も知らない。




しかし、架空の世界が現実味を帯びてくるのは、その手紙の切実さゆえで

あろうか。凛子は夫からDVを受けていると手紙でクモオに訴え続ける。






         ーー略 約束します。彼が死んだらあなたに会います。

         それまではだめ。彼が死んだら、私が金沢へ行ってもいい。

         もちろんあなたが来てくれれば東京で一緒に暮らしてもいい。

         クモオさんがそうしたいなら、仕事をやめればいい。お金の

         ことなんてどうでもいい。生きていけるなら、私は何でもする。

         私は本気です。                2月1日 凛子




危険な恋は相手と1度も逢わないまま、一線を踏み越え暴走してゆく。

怖い、怖い。

井上荒野の小説は、小説の常道?から、遥かに隔たり、それゆえに

迫真がある。

凛子とクモオ(柚と航大)は、どうなるのか、どうしたいのか?


                  1500円+税  2016年10月10日 第一刷発行








cat       cat

そういえば、井上荒野の小説『だれかの木琴』は、映画が封切りされて

いる筈なのに、福岡ではまだ上映されていない。

池松壮亮の演技が観たい。

熊本には来ているそうなんだけど……

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