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2016年10月14日 (金)

夕焼けの羊雲

出先からの帰路に見た羊雲、空いちめんに広がっていた。

その羊雲が夕日を受けてみるみるうちに真っ赤になっていく。

西の空は夕焼けの色に染まり、わたしは電車を降りて立ちつくした。



そういえば、小野茂樹の歌集のタイトルは『羊雲離散』だけど、どんな

羊雲をうたっていたのだったかと思い浮かべてみたものの出てこない。

      五線紙にのりさうだなと聞いてゐる遠い電話に弾むきみの声

      あの夏の数かぎりなきそしてまたたつた一つの表情をせよ

      くさむらへ草の影射す日のひかりとほからず死はすべてとならむ






かろうじて思い出した3首だが、小野茂樹と『羊雲離散』は、小中英之が書く

ように〈同義語〉だと思う。



帰宅して、『現代短歌大系11』(三一書房)を開く。

この11には、夭折歌人集として掲載されていたが、『羊雲離散』は全篇収録で

なく、抄出となっている。





なんだ、なんだと、乗り掛かった舟を漕ぐことが出来ずに書棚を眺める。

あるじゃ~ないの。

『小野茂樹歌集』(現代歌人文庫 国文社 1982年9月25日初版)




       ひつじ雲それぞれが照りと陰をもち西よりわれの胸に連なる

       語るほどに光れる位置を移す雲わが眼を奪ひゆく力あり

「ひつじ雲」の言葉が入っているのは、上記の1首のみ。

茂樹の1967年12月に書いた「おぼえがき」(『羊雲離散』の後記の代り?)を。





       ーー略 題の『羊雲離散』は、歌誌「地中海」の最初の掲載作の

       タイトルからとった。名付親は香川進先生である。「羊雲」は和語

       であるらしく、漢語辞典中には見当たらぬ。したがって、よううん

       (、、、、)という音読みは成立しないだろう。しかしこの造語も、

       なんとなく耳慣れて動かしがたくなってしまった。同じ四字の歌集

       名で『東西南北』『水源地帯』などもあるが、『羊雲離散』には四字

       のなかにドラマがあってぼくは気にいっている。ーー略





「羊雲(よううん)」って、茂樹の造語だったのだ。

その「羊雲(よううん)」に「離散(りさん)」をくっつけて四字(四字熟語)に

している。





今日の夕方見た「羊雲(ひつじぐも)」から、小野茂樹の歌を辿ることが

できて、良かった、良かった。



でも、わたしが見たのは、まさか「鯖雲(さばぐも)」じゃ~ないよね。(笑)

 

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