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2016年11月14日 (月)

第4回現代短歌社賞 発表 『現代短歌』2016年12月号

第4回現代短歌社賞が発表になった。

138編が寄せられ、87歳から25歳まで年齢も所属結社も多様だ。

選考委員は、沖ななも・雁部貞夫・外塚喬・安田純生の各氏。

今回、惜しくも受賞はしなかったが、九州福岡在住の山下翔さん

(やまなみ)が、次席で作品20首が掲載されている。






              湯           山下 翔

      抽斗のおくへおくへと手をのべてしりとりに似る二人の時間

      ぎんなんの連なりの揺るはちぐわつへ秋がぐいぐい身を差し挿れる

      夕刊を取りにゆかむと縁側に出てみれば雨の気配、いや、雨

      知つてゐる部屋がいくつもこのまちにあつて誰かがその後を暮らす

      夜がくる寸前まちは暗くなりやがてあかるむ 街であるゆゑ

      耳たぶのごとく垂れつつ看板は〈帝国探偵社〉を掲げをり

      朝まだき木立ちアロエの蕊高くあなたとはいつか会つてゐるはず

      ぞろぞろと人みな花を見に出かけ町ひとつ消ゆまたひとつ消ゆ

      末(うれ)たかく伸びゆく桐の春のゆめ楽器になつてみたいだらうか

      ありふれた喩へときみは笑ふだらういいんだ目玉焼き、月みたい







掲載20首の始めから10首を、そのまま書き写す。

いずれの歌も過不足なくいい。旧仮名遣いの柔らかさが効果的で、

作品がざわついていない。

選考座談会を読む。

これがまた面白い。以下要約して少し記す。(山下さんの「湯」の評部分のみ)

(全部写さないのは、この12月号をぜひ手にとって読んでほしいから)







       受賞作よりポエジーがある……

       この時代にナイーヴだな、と。それは美点だと思いました。

       口語と文語、古語と英語、多様性のある表現で、それがいいのか

       悪いのか、微妙なところにいる。

       非常に才があるのと、詩情、ポエジーがある。

                                    沖ななも 評

       才が滑りすぎると疵になって……

       将来に期待する。                  雁部貞夫 評

       一首一首が誌的で、口語的な発想で詠っているけれども、

       作者の人間性の深さみたいなものを感じさせるところがある。

       口語の使い方が面白い。今を生きる若者の混迷さが出ている。

                                    外塚 喬 評


       二十五歳の作者で、読んでいくと、腑に落ちない歌も

       ありましたが、面白いと思って印をつけた歌が一番多かった。

                                    安田純生 評




座談会では、「やりすぎと思う」歌や雁部氏の言う「才が滑りすぎる」歌も

あげられている。やはり300首並べるというのは、並大抵ではないことか。

「もう三年か四年して、成熟するところを見たい」なんて言われて、山下さんは

承服できるかな。






ともかく、外野席としては、愉しませて貰った。




なお、受賞作は山本夏子さん(白珠所属)の「空を鳴らして」だった。







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福岡上空 22時40分 スーパームーン 、しっかり見えます。

やっぱり、いつもの満月より大きく見えます。

 

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