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2016年12月28日 (水)

短歌同人誌「穀物」 第3号

創刊号が出たのが2014年11月だから、確実に1年に1冊の刊行である。

同人数も創刊号より増減がなく、変わらず8名というのは、この変化の

激しい時代にあって稀有なことではあるまいか。





創刊号の47ページから、この3号は一挙に87ページの大幅な増ページに

なっている。1人に換算すれば10ページ強。( 恵まれている。笑 )





今号は26ページに及ぶ座談会を掲載している。

その座談会が総合誌などの対談や鼎談に匹敵するくらいに面白い。

その面白さを伝えたいのだが、まず、作品の方から紹介したい。

大作(39首・46首・50首)を出している川野芽生・濵松哲朗・廣野翔一・

山階基の4名の濱松を除く3名の作品は、第62回角川短歌賞に応募した

時のものということが判明(笑)。





角川短歌賞発表号の2016年11月号『短歌』を開く。




      まどろみに旗を   山階  基     未来・穀物・はならび

      アヴァロンへ     川野芽生     本郷短歌会・穀物

      虹を出す手品    廣野翔一      塔・穀物






その時のタイトルのままの掲載だが、山階は11首削り、川野は4首

削っていることが判る。

     このなかのだれも風力発電の羽根にさわったことはないのに

     抱きあう胸のあいだをひとすじに抜け落ちていく感じがこわい

                    まどろみに旗を     山階 基

     ジョン・エヴァレット・ミレイの没年書き入れて死者ばかり

     この稿を出入りす

     幻獣のかたちを都市にさらしつつわが呼ぶまではそこに

     在れ、雲          アヴァロンへ      川野芽生





     点検の前に残水を吐かせおりうつ伏せの後逆立ちをさせ

     生産が上がらぬことがちらつくな炬燵で不意に寝る間際にも

     虹を出す手品未だに持たざれば風吹く街を眺めるばかり

                     虹を出す手品     廣野翔一






     からみつく蔦のごとくにわが生を此処に這はせり 此処しか

     無くて

     ちがふ、何かが違ふと常に思ひつつ面伏せて門をくぐり抜けたり

                     〈富める人とラザロ〉の五つの異版

                                    濱松哲朗







とりあえず、大作の4名の作品から。

山階の1首目はいいさしの言葉で終わっている。「さわったことはないのに」

の後に続く言葉が消えて、読者は宙ぶらりんになってしまう ? そこを

狙ったともいえるのだが。

2首目は、性愛に溺れきれない?純な心?が感じられる。





川野の歌はパスしたいくらいに難しい。

実体の無い、不可視の世界を詠んでいるようなとりとめのなさを感じる。

わたしには〈知の世界〉が視えない。






廣野の歌は、歌というより先ず角川短歌賞の選考会での小池光の

下記の言葉が強烈に残っている。

     

     ーー略〈風俗に行かざることをなんとなく一線として我は死守する〉

     とてもよくわかります。頑張ってください。(笑)。こういう率直さは

     読ませる。






それかあらぬか(笑)小池光は、廣野に1票入れていた。

この50首は、労働者の悲哀が湿り気を帯びずにさらりとうたわれていて、

わたしは良いと思った。

2首目、3首目に、現実に対する焦りのようなものが伝わってくる。

若い人の〈労働の歌〉が少ないから、この路線で執ねく突き進んでほしい。

濱松の歌も、廣野の路線に近いが、濱松の方は現実の生活が見え

難い。社会に同化できないような苛立ちは十分伝わってくる。








ここまで、書いて時間切れ。

座談会のことにも触れたかったが、スペースが尽きてしまった。






            (頓珍漢な妄評、ご海容ください。)

                                   つづく……

 

 

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