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2016年12月13日 (火)

映画「聖(さとし)の青春」 原作 大崎善生

1998年8月8日、29歳の若さで亡くなった天才棋士の物語。

原作は大崎善生(『聖の青春』角川文庫/講談社文庫)。




村山聖に松山ケンイチ。羽生善治は東出昌大。

聖(さとし)の師匠にリリー・フランキー。




松山ケンイチは、映画「怒り」の時との変わりように驚いた。

あの「怒り」で見せた、おどおどしたような少年の眼差しから、勝負に

挑む男の根性を、その眼力に発揮していた。

役作りのために20キロの増量をしたとか。並々ならぬ映画に賭ける男の

意気を感じた。





聖の部屋は本やCDなどで足の踏み場もない。

漫画が大好きな聖の卓の上に『蒼ざめた馬』がチラリと見えたのは

何だったのか?(監督の嗜好かな?)


対局でアップになるたびに聖の指の爪の長さが気になった。

使わない左手は全部の指の爪が長く、右手はかろうじて遣う指だけは

短かかったようであった。それと髪の毛が伸び放題みたいな。この2つの

ことは、エンディングで理由がわかる。(教えないので、映画を観てほしい。)


羽生善治役の東出昌大が羽生になりきっていた。

対局での扇子を小さく開けて閉めるしぐさなど、一挙手一投足が

羽生のものだった。

聖の師匠役のリリー・フランキーが包み込むようなやさしさで接して

いた。彼の演技は、演技というより、体全体から滲み出る〈あたたかさ〉

である。映画「お父さんと伊藤さん」の伊藤さん役でもそうだったが、

すてきな役者さんだ。


勝負の世界の息詰まるような対局。

村山聖語録は、将棋の世界だけでなく、他の世界にも通じるようにも思えた。

対局が終わって、羽生と聖が居酒屋で語り合う場面は、その言葉一つ

一つに重みがあった。






     ぼくたちはどうして将棋を選んだのでしょうね。

     神様のすることは、ぼくには予測できないことばかりです。

     敗けたくない、それが全てだと思います。

進行性膀胱癌の手術をする。故郷の広島でのひととき。

アンケートの類の嫌いな聖がはじめて返送したアンケート用紙の回答。

Q神さまがたった一つ叶えてくれると言ったら、何を叶えてもらいますか?

 回答 神様除去







広島弁の「勝ちたいんじゃ~」がせつない。

羽生も言ってたけど、「負けるのは死ぬほど悔しい」と。





      人間、誰でもいつかは死にますから…






なんて、まだ20代の聖(さとし)がさらりと言うと、泣けてしまう。

     

     

     



       

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