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2016年12月11日 (日)

『前川佐重郎歌集』 現代短歌文庫 砂子屋書房

『彗星記』全篇と『天球論』(抄)を収録。



歌論・エッセイが7篇。解説を松平修文・小川太郎・三枝昻之・佐伯裕子・

黒木三千代・喜多弘樹・佐々木幹郎諸氏が執筆している。





歌論の「口語歌についてーー反逆と遊戯と必然」の初出は、角川の『短歌』

1988年9月号のものだが、今読んでもちっとも違和感がない。

と言うことは、30年も前の歌論が色褪せずあるということのようだ。





前川氏の各歌人に寄せる分析がなかなかに面白い。

      奥村晃作  不思議な口語の使い手である。日常の日常性に身を

              浸しながら、ただごとの不可思議を口語に託す。そこ

              から見える風景は今(いま)の昨日と今日と明日で

              あり、その不確実性が口語使用のほどよい手触りと

              なってただごとの非日常性を読者に喚起する。




      荻原裕幸  感覚と修辞があって実体がないが、ーー略 実体は

              不要かも知れない。




      穂村 弘   現代日常のごくありふれた風俗、道具だて、場面

               設定、それに時折見えすいた性的偽悪趣味を

               露わにしてみせながら、作品として一本立ちした

               とき、そのまがいものに生命を吹き込む力量を

               --発見する。




      加藤治郎   時代に敏感な目先のきく口語歌人であろう。これは

               褒め言葉である。どんな状況にも柔軟に対応できる

               感性と詩的適応性を備えている。



各人には、歌の引用が付いているのだが、スペースの関係で

端折ってしまい、申し訳ない。(よろしければ、現物をお読みください。)



加藤克己・宮柊二・斎藤史・前登志夫などに関わるエッセイも収めている。

長くなったので、次回では『彗星記』の歌を10首選び出し、紹介したい。





                    2016年12月5日   1800円+税



                                      つづき……










      

         

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