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2017年1月13日 (金)

第十七回りとむ二十首詠第一位作品  「りとむ」 2017年1月号

23編の応募作品の中から三枝昻之・寺尾登志子・田村元の3名の

選考のもとに越田勇俊(こしだ・ゆうしゅん)1996年生れが受賞している。




    スーツとはたやすい免罪符のようでおさない大人として生きる街

    せんせいと呼ばれることの不思議さにファミマばかりの街角に立つ

    赤ペンを胸ポケットに差すことがぼくにひとつの威厳(みたいだ)

    こんばんわ 君と過ごした一時間一〇〇〇円ちょっとの価値だ 

    泣けるね

    避妊具を自販機で買う いのちとはこう単純に潰されてゆく

    コンビニに慰められるコロッケやから揚げ母の代わりのようで

    カップ麺すするひとりの夏の夜のテレビは映すふるさとの海

    洗濯機にワイシャツひとつ投げこんでやっぱりぼくはこどもがいいや






「入選のことば」に次のように記している。


    ー略 今回の二十首詠のテーマは、実生活を忠実に掬いとること
    だった。



そのことに、わたしは少なからず感動した。

実生活はうたわない? 実生活をさらけ出すのはダサい、と言う若者が

多い?のに、あえてその実生活を忠実に掬いとるとは……こういう若者も

現に居るのだ。







    一位の越田作品、青春の自画像が巧みに表現され、一首の展開に

    面白さがあった。ごく身近な素材を活かしながら、読者を自分の世界に

    惹き付ける。十九首目の(引用歌では8首目の歌)下の句に弛みが

    あるが、今後の伸びしろに期待したい。

                        選考を振り返って  寺尾登志子


    越田勇俊「おさない大人」は、青春の自問自答を主題とした一連。

    歌の素材は「ファミマ」「赤ペン」「コロッケ」など、身近なありふれたもの

    ばかりだが、だからこそ、揺れ動く心がひりひりと際立つのだ。

                        幅広い魅力   田村  元


    「おさない大人」の自在な表現が描く今日的な青春像が一歩抜けて

    いると感じた。           世代の競い合い  三枝 昻之


引用歌の8首目、下の句。やっぱり(笑)、これを言うと、結論を出してしまう
ことになる。答えを急ぎ過ぎるような。この思いは全体で読者が感じてくれるのじゃないかな。(あ~ぁ、またよけいなこと言っちゃった。)



でも、惹かれる作品である。
塾かなんかでアルバイトをしながら大学生活を送る若者の等身大の世界が気負わず淡々とうたわれている。
(こういった連作が一位になる、そのことに歓びを感じる。)





そして、時に母のことや、ふるさとのことを想う、思いの素直さ。

ちなみに、越田勇俊くんは、東北大学短歌会の会長を務めている、らしい。

 

 

 

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