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2017年1月21日 (土)

『とりつくしま』 東 直子  ちくま文庫

死んでしまったあなた、そのあなたが〈モノ〉になって、生前の世界に

戻れるとしたら、「何になりますか?」。

10の短篇と番外篇「びわの樹下の娘」を収めている。

亡くなった人は「とりつくしま係」に促され、この世の何かのモノにとりつく。

いとしい人や愛する人の身近に在る〈モノ〉に、たましいが入り込み、距離を

もって見守るまなざしといえようか。





ピッチャーの息子を見守るため、野球で使うロージンバッグになった

母親の話「ロージン」。


敬愛する書道の先生の扇子になった女性を描く「白檀」。


妻が綴る日記になった夫の物語「日記」。





等々、いずれも美しい言葉で語られ、人生のせつなさ、哀しさがただよう。

「死」というテーマは一般的には重いのだが、重さを感じることなく、温かさが

伝わってくる。そして、著者が歌人であるということも考え合わせると、

なんとも抒情的である。






文中でわたしが惹かれたことば。




   毎日は、たわいもなくて、とりとめもなくて、でも、それだけなのだろうか。
                                        「日記」より

   今日は、昨日の続き。明日は今日の続き。でも、泰彦さんの「今日」は、

   あの日で止まってしまった。                   「レンズ」より

   「とりつくしま」とは、命をなくした人がこの世に戻ってきて魂を宿すモノの

   ことをそのように呼びならわすように設定したのですが、「とりつくしま」を

   考えるということは、死んで間もない人のことを考える、ということになり

   ます。誰でもその身に潜ませている「死」を考えることでした。
                               「文庫本あとがき」著者






              解説 大竹昭子   2016年9月 第3刷 600円+税









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本日、1月21日の朝日新聞夕刊の「知っとーと」は注目記事。

博多・龍宮寺の「人魚の骨」の記事。貞松慎二郎記者が取材・執筆している。

JR博多駅前の大博(だいはく)通り沿いにある龍宮寺(りゅうぐうじ)。

そこの境内には「人魚塚」があり、本堂には人魚の骨が安置されている。






染野太朗さんの歌集『人魚』の評判も上々だし、ツアーを仕立てて、

みんなで見学に行く……なんてこと、誰か考えないかしら。

見学できるらしい、よ。








                 

 

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