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2017年1月22日 (日)

『笑う子規』 正岡子規 ちくま文庫

正岡子規の24000句ほどある俳句の中から、天野祐吉が選句し、

コメントを付けたもの。その句に添える絵を南伸坊が描いている。


肺結核から晩年は脊椎カリエスを発症した子規。

1902(明治35)年、35年(満34歳)の短い生涯であった。

凄まじい痛みにさいなまれながらも、その食欲・表現欲はちっとも

衰えることなく、そこから生まれる句には明るさがあった。


天野祐吉は「明るい子規さん」・「笑う子規さん」に焦点をあて選句。

「とくにおかしみの強い句、笑える句を選んで、南伸坊さんと自由に遊ばせて

もらったのがこの本です。ーー略」と、「はじめに」の挨拶にある。






          人に貸して我に傘なし春の雨

          内のチョマが隣のタマを待つ夜かな

          夕立や並んでさわぐ馬の尻

          和歌に痩(や)せ俳句に痩せぬ夏男

          えらい人になったそうなと夕涼

          生きておらんならんというもあつい事

          一日は何をしたやら秋の暮

          行く秋にしがみついたる木の葉哉

          家にまつ女房もなし冬の風

          うとましや世にながらえて冬の蠅





3句目のコメント。「馬は繊細な神経の生き物で、夕立にも心さわぐ。何頭も

並んで繋がれた馬が夕立に遭うと、まるで尻ふりダンスをしているようだ。

それにしても、なぜバケツは馬穴なのだろう。」と、句解から飛んだところが

愉快である。



5句目のコメント。「秋山さんとこのご兄弟は、えらいご出世じゃそうな」

「それにくらべて、正岡のノボさんは相変わらずサエんなあ」




6・7句目、「生きておらんならん」も「一日は何をしたやら」も、ボヤキである。



そして、8・10句目の自嘲の笑いは、生き長らえているわたしの心中にも

多少は重なってきたりする(笑)。



        なお、「俳句の表記は読みやすさを考え、常用漢字、新仮名

        づかいに改めました。原文の表記と発表年は、巻末に資料

        として付しました。」と、この書には添えられている。





巻末には、正岡子規年譜も付き、1ページ1句の読み易さと、南伸坊の

絵が愉しい。






        解説「野球のゲームのような句会」関川夏央  700円+税

        


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