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2017年3月17日 (金)

「特集 島尾敏雄生誕100年 ミホ没後10年」  脈 MYAKU 2017・2

表紙は島尾敏雄とミホの写真。写真の背景はどこかの市場みたい。

お店の看板にTEL 54-×××× の番号が見える。敏雄は大きなボストン

バッグを持って、毛糸の帽子を被っている。

ミホは着物姿で、眼鏡をかけ、花鉢らしきものを抱えている。

仲の良いごくごく普通の中年の夫婦に見える。

写真からすると昭和50年代であろうか?





目次を見ると18名の方々が130ページにわたり、敏雄・ミホに関する

文章を書いている。

       おかあさんの謎          島尾 伸三

       死を生きた人            前田 速夫

       『死の棘』煉獄からヤポネシア論への恩寵的大反転

                           松本 輝夫

       『死の棘』再読のための覚書  坂口 博

       刹那の一瞥 ーー島尾 敏雄  内田 聖子

                                    以下 略 



巻頭の島尾伸三氏は島尾夫妻の長男。(『死の棘』の中の名前は、伸一)

この本が思いがけなくも届き、浮足立って読み始めたわたしの脳天を、

ぐわ~んと直撃するような筆致であった。






        あんなにぼくや妹に失礼極まりないことをやっておきながら、

       おとうさんとおかあさんは死んでからも、生前そうであったように

       ぼくのお金や精神や肉体を奴隷のようにこき使います。いいえ、

       そんなことが負担になっている訳ではありません。彼らはまだ

       死んでいないかのようです。


        哲学も文学も科学も、毎日を穏やかに生きるものには迷惑

       なのです。彼らは言葉を支える嘘に鈍感で、思い込みを表現と

       しているらしいのです。ーー略



二人の小説家が両親だった故のまこと率直な思いであろう。

肉親という〈愛〉に裏打ちされたことばながら、なんだかせつない。

ところで、今回この書を通読したことによって、以下の疑問が……

 

       ①ミホが衝撃を受けた敏雄の日記の17文字とは?

        わたしは俳句かと思ったが、前田速夫氏は「いくら十七文字

        だからといって、俳句などであるはずがない。」と書いている。

        その根拠は?

    

       ②あれだけ記憶力の良いミホが17文字の言葉を覚えていない

        だろうか。或いは、その言葉が記された日記はミホによって、

        廃棄されてしまったのだろうか。(ほんとうに17文字だったのか)

        (その17文字を封印してしまったのは、なぜ?)



       ③玄関に投げ込まれていたメモや電報は、女・千佳子が出したも

        のか、ミホが女になりかわって出し敏雄を試していたのか、

        或いは、敏雄自身が書いたのか?

       ④『狂うひと 「死の棘」の妻・島尾ミホ』の著者、梯久美子さんは、

        上記の②③も曖昧なままだが、それは意図したものではなく、

        答えが見出せなかったのか?







坂口博氏の文章「『死の棘』再読のための覚書」では、③のことについて、




       梯は、「いったい誰が書いたのかは、永遠にこの作品の謎として

       残ることになるのだろう」と、評論家ふうにまとめるが、作品

       『死の棘』を読み解くにあたっては、どれかに態度決定しない

       ことには先へ進めない。--略







                        定価 1200円+税   2017年2月25日発行

               発行所 脈発行所

               編集・発行 比嘉加津夫

 

 

 

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