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2017年3月21日 (火)

『葛原妙子と齋藤史』 寺島 博子  六花書林

葛原妙子と齋藤史、ともに六十代で出版した『朱霊』と『ひたくれなゐ』。

ふたりの表現者としての意識を探る書き下ろしの評論集。

「はじめに」と題された文章を読んで、身のひきしまる思いがした。

著者の寺島さんは「朔日」に所属する方で、五十代半ばであろうか。

ひそかに、地道に、書くことに専念していた5年の歳月の尊さ。

2011年から2016年上半期にかけて書き溜めたものと「あとがき」に記す。

  葛原妙子 明治40年生まれ    昭和60年(1985) 78歳没

  齋藤史   明治42年生まれ    平成14年(2002) 93歳没




  他界より眺めてあらばしづかなる的となるべきゆふぐれの水

                          葛原妙子『朱霊』昭和45年刊

  死の側より照明(てら)せばことにかがやきてひたくれなゐの生ならずやも

                          齋藤史『ひたくれなゐ』昭和51年









こうして、並べてみると「他界より」と「死の側より」の捉えかたが似ている。

その「他界」と「死の側」の言葉の重さ、価値などを実に丁寧に著者は

解きほぐしてくれる。






そういえば、妙子と史の第一歌集の高名な歌も並べてみると二人の

意識の在りようの相似が考えられなくもない。

   わがうたにわれの紋章のいまだあらずたそがれのごとくかなしみきたる

                           葛原 妙子『橙黄』昭和25年刊

   額(ぬか)の上に一輪の花の置かれしをわが世の事と思ひ居たりし

                           齋藤 史『魚歌』昭和15年刊



著者の考察が、なんともスリリングな一冊である。

                           2017年3月25日 2500円+税




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