詩集『若葉のうた』 金子光晴 勁草書房
「孫娘・その名は若葉」の副題の付いた詩集。
--略 いくたびもおもふやうに、孫へのいとほしさは、別離の
いそがしさのために先手を奪(と)られて、思慮をはづれた溺愛と
なる。他人(ひと)ごととしては、片腹痛くみてすごしてきたことが、
じぶんのこととなると、平静のつもりで、かいくれ目安のつかない
始末になりがちである。ーー略
詩集のあとがき
金子光晴の手放しの孫・溺愛ぶりが1冊の詩集に収められている。
「年若い人には、縁のない本だ。」と醒めた分析もしている。
それは、それとして、この詩集の最後の方に「小山哲之輔におくる。」として、
「一対」という詩が収められている。
その詩の終わりの方の四連が印象深い。
愛情とは、からだとからだをよせて
さむさをあたためあふことなのだ。
それ以上のなにごとでなくても、
それだけでも充分すぎるではないか。
昨日、一箱古本市とやらを覗いて買った1冊。
10円なんて、あまりにも可哀想な値段ではないか。
この詩集のことをブログに載せることによって、少しはお弔いができたかな。
昭和42年4月20日発行
偶々、朝日新聞の昨日、3月18日の「折々のことば」(鷲田清一)は、
文月悠光(ふづき・ゆみ)の詩集「洗礼ダイアリー」をとりあげていた。
男の人に触られると傷つくものだと思っていた。
抱きしめられて安心するなんて知らなかった。
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