« 歌誌『はつか』 旧仮名・若手歌人の連作 | トップページ | 菩提樹の花 »

2017年6月13日 (火)

歌誌『はつか』 旧仮名・若手歌人の……(続)

昨日に続いての『はつか』の紹介。

特集③には「編集長推薦 いま読みたい旧かな歌人」の8名の作品が掲載

されている。





その前に、この歌誌の『はつか』は、古語の「はつか(僅か)」であろうか。

「わずか」とか「いささか」の意であり、山中智恵子の歌に「恍としてうぐひす

鳴くをこのゆふべあはれはつかに雪降りにけり」がある。

(この冊子は、平仮名で書かれているけど、二十日(はつか)では

ないよね?)

そういえば、門脇篤史さんの歌「五十首抄」の中に「はつか」のことばが

つかわれていた歌があった。

       臨時記号。 雨に降られて日常ははつかに移調するやうに濡る

                              門脇 篤史「五十首抄」より







「編集後記」(門脇篤史)によると、この冊子を作った動機というか、企画の

原点が綴られている。

      旧仮名に焦点を絞って冊子を作ってみたい。もしかしたら、そこから

      私たちが旧仮名で作歌する理由のようなものを読み取れるかも

      知れない。ーー略}

旧仮名で作歌する理由のようなものを読み取れる、ことが出来たのかどうか

歌を紹介しよう。








     わがくちのなかへ這入りしあの舌をおもひてざりり梨を撫でをり

                            「奇形果」 碧野みちる

     
     おたがひに口に飼つてるくらやみを交換しあふ行為でせうか

                        「旧かなづかひ」 有村 桔梗


     思ひ切つて近づいていつててのひらで撫でれば柔らかい山肌よ

                           「ゆめゆめ」 飯田 彩乃


     噴き上がるみづのゆたけさ曲面を雨繊(ほそ)く垂る、くちびるぬぐふ

                              「戴冠式」 漆原 涼


     白線のうちがはにゐて花ふぶき 自由と弱さを試されてゐる

                         「試されてゐる」 太田 宣子

     
     咽喉(のみど)よりとび去りしつぐみただきみの変声期前のこゑの

     ききたし                 「きりぎしの夜」 楠 誓英


     冬に来る息の暴走 足掻いても足掻いてもなほ我といふ森

                              「宝物」 濱松 哲朗


     午過ぎて手水のみづのおのづから渇きたる手をなほひらきゐつ

                              「六地蔵」 山下 翔




いずれの歌も旧仮名遣いが生かされている。

口語文語の混交調はあるものの、これとて今では若い歌人のみならず、

むしろ高齢者の方が自信(?)をもって使っているようにも思える。







この冊子の巻末に各自の旧かな使用率を掲載していたのは参考になった。

旧仮名遣いは、ずっと、100%というかたもおり、確固たる意志を感じたり

もした。



そういえば、わたしなどは第二歌集から旧仮名に変えたものだ。

人生上の転機でもあったし、新仮名遣いでは気持ちが生々しくも

表出しそうでこわかった。文学的理念などという確たるものではなかった。

おお、なんということだ(笑) 

旧仮名遣いをヴェールにしようと企んだのでもないが……

 

 

 

 

« 歌誌『はつか』 旧仮名・若手歌人の連作 | トップページ | 菩提樹の花 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/2032066/70844120

この記事へのトラックバック一覧です: 歌誌『はつか』 旧仮名・若手歌人の……(続):

« 歌誌『はつか』 旧仮名・若手歌人の連作 | トップページ | 菩提樹の花 »