« 『薬屋のタバサ』 東 直子  新潮文庫 | トップページ | 『まくらことばうた』 江田 浩司  北冬舎 »

2017年8月16日 (水)

『おめでとう』 川上弘美 新潮文庫

「よるべない恋の十二章」との紹介文が裏表紙に付く。

12の恋の物語である。




川上弘美の文章は、川上弘美固有の香り(空気)を纏う。

ことに、心理描写に長けている。

〈ことば〉の人らしく、日常の何気ない会話のなかに相手の心や表情を

読み取る。

そして、自己分析をする。







      未練というからには、未練を持つ状況を考えねばならぬ。

      未練とはつまり執着、「してはならぬ」のに、つい執着してしまう

      ことだろう。                 「天上大風」より





この人は短歌に向いているかも ? と、思ったりしてしまう。

(川上さんって、俳句をしているんだったかしら ? )

              ーー略

      会えば別れがくる。人の心は変わる。愛する最中での別れの

      予感。いや予感と言っては生温(なまぬる)い必ず別れがくると

      いう確信。もっと言えば、明日の期待を持つことで次の絶望が

      約束されることへのおそれ。各編に流れるものは、愛の不確かさの

      確かさである。--略

                          「解説」 より   池田澄子





おお、なんということか。

解説を俳人の池田澄子さんが書いている。

「アマリリスあしたあたしは雨でも行く」(『思ってます』 池田澄子句集

ふらんす堂刊)

大雨でもたとえ豪雨でも逢いに行くのは(深読み)池田さんの真骨頂。

その〈愛の達人〉 ? ? の、洞察力の見事な解説には痺れる。





それにしても、川上さんって、造語というか、すてきな言葉を

この書では、編みだしている。



たとえば「公式でない恋愛」。




いまメディアを騒がしている●●も「公式でない恋愛」って、

品良く(笑)、言ってほしいものだ。





                      平成15年7月   400円+税

 

 

« 『薬屋のタバサ』 東 直子  新潮文庫 | トップページ | 『まくらことばうた』 江田 浩司  北冬舎 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 『おめでとう』 川上弘美 新潮文庫:

« 『薬屋のタバサ』 東 直子  新潮文庫 | トップページ | 『まくらことばうた』 江田 浩司  北冬舎 »