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2017年8月15日 (火)

『薬屋のタバサ』 東 直子  新潮文庫

過去を捨てて知らない町にやってきた山崎由実。

古びた薬局の手伝いとして住み込むことになった。

そこの店主、平山タバサ。独身・身寄りなし。何を考えているのか

わからないようなワケありの人物 (?)





小さな町の、古びた薬局の、店主・タバサと来歴不明の主人公の

山崎由実が繰り広げる物語である。






歌人・東直子が2009年5月に新潮社より刊行した小説だが、

読みすすめていくうちに、くらくらとするような才能を感じた。






       一緒に暮らすとは、

       恥ずかしいことを少しずつ分け合っていくことなのだと

       思う。

      
       時間が過ぎていく。今生きている人はみな、昨日よりも

       一日分、死に近づき、今日が終われば、また、一日、

       死に近づく。そしていつか、必ず肉体は「死」という、

       たった一文字で片づけられるもので終わりを迎えるのだ。


東直子の初の小説は2006年の『長崎くんの指』。

『いとの森の家』の単行本化は、2014年10月。

ちなみに、この『いとの森の家』は、坪田譲治文学賞を受賞している。

この『いとの森の家』より、5年も前に出版されているのが

『薬屋のタバサ』なのだ。






なんで、こんなことをくだくだと記すのかといえば『薬屋のタバサ』の物語の

展開というか、プロットが素晴らしい。並の(笑)作家が考えられないような

展開なのだ。

現実と、夢と、幻のなかを、浮遊するような、展開に先を急いで読みたく

なってしまう。(移動時間はおろか、この文庫は読み終るまで手放せ

なかった、よ。)






そして、結末は……

東直子は、ただもの(笑)じゃないと、確信した。









                        解説 藤谷 治

                        平成29年8月発行  520円+税

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