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2017年8月 6日 (日)

『とるにたらないものもの』 江國香織  集英社文庫

とるにたらないけれど、欠かせないもの。

気になるもの。

愛おしいもの。

忘れられないもの。

身近にある有形無形の60のものたちについて、綴ったエッセイ集。

        苦手なものの一つに愛称がある。

        どういうわけか昔から、人を愛称で呼ぶことができない。

                                       「愛称」

うん、うんと頷いてしまう。

かく云うわたしも人を愛称で呼ぶことができない。

年下の男性に「●●くん」なんて呼ぶことができない。

呼ぶことが出来ないばかりか、「●●くん」なんて呼んでいる人がいたら、

羨望とジェラシーと、いい知れぬモヤモヤ感が残る。






女性同士で「●●りん」とか「●●たん」とか呼んでいるのを耳にすると、

体が痒くなる。

若い女性、いや、中高生くらいなら、まだ許せる(笑)けど、40も50も過ぎた

おばさんに、そりゃあないでしょ、と思う。







わたしは、短歌関係だと、年上・年下関係なく、男性も女性も全て

「●●さん」付けで呼ぶ。






        

江國香織さんのエッセイ読んでいると、健康 ? な精神を感じてしまう。

健康な精神というのが正しいのかどうか分からないが、心情的にわたしは

共鳴する部分が多い。

たとえば「傷」の章で書かれていた、家庭のなかで「傷」と「汚れ」と

どちらが気になるかということ。



       

この「傷」の章で、考え込んでしまった。

「人は(たとえ一緒に暮らしていても)なんて違う考え方をするのだろう。」

と、記す。それは、夫(江國さんの)のことばの「汚れは、落とす気になれば

落とせるんだからほっといていいんだ。汚れることは避けられない。傷は

避けられるんだから、注意深くなりなさい。」だった。




        

       生きていれば、物も人も傷つくのよ。避けられない。それより

       汚れを気にした方が合理的でしょう ? 傷は消せないけど汚れは

       消せるんだから

       ーー略

       生活していれば、どうしたって傷つくのよ。壁も床も、

       あなたも私も

                                      「傷」






                     2010年11月 第3刷  420円+税
         

 

 

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