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2017年8月17日 (木)

『まくらことばうた』 江田 浩司  北冬舎

某歌会の題詠が「枕詞のある歌」ということで、べんきょう(笑)している。


書棚を探すと『まくらことばうた』(北冬舎 2012年12月刊 1900円+税)

が目についた。栞文・日高堯子、島内景二、田野倉康一。

総歌数は666首。

いずれの歌にも「枕詞」が付いている。

いろは順に並べられており、

目次は、[い]のまくら」、[は]のまくら、[に]のまくら というふうに並んでいる。






読みながら、著者・江田浩司の熱量に舌を巻いている。

よくもまぁこれだけの枕詞をものにしたことだと。

江田浩司の一つの挑戦であり、その挑戦の成果はこの本書の読者には

ただちに伝わるだろう。



著者、江田浩司の造語的な「枕詞」はあるのだろうか。

たとえば、正岡子規が「久方のアメリカ人のはじめにしベースボールは

見れど飽かぬかも」(『竹の里歌』所収)のような、「天(あめ)」に

かかる枕詞「久方の」を「アメリカ」にかけているような際どい枕詞が。

      いはそそく垂水(たるみ)の岩の月光(つきかげ)に酔(ゑ)ひ

      酔(ゑ)ひて寒きパトス燃え立つ

      いつしばのいつとしもなき夢心地 幸ひ響け春雷家族


江田さんの歌らしさを纏っている のを、最初の方から選んでみた。




と言うのも、文語で枕詞をつかった歌は、作者の個性(極端に言えば

私性まで)が消えてしまうことだ。形式としての短歌は美しいが、

聖も俗も蔓延る現代の(現在の)世の中に生きているにんげんにとって、

果たして歌としてどうなのか ? という思いも兆す。






さて、某 歌会でどんな歌が飛び出すのか大いにたのしみである。

えっ、他人事じゃあない、枕詞のある歌をつくらなくちゃ。

 

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