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2017年10月28日 (土)

11月時評 「短歌を売ること」 天野慶   短歌人

「短歌人」の時評は、面白い。

面白いというより、時代の最先端、即ち現代の短歌界の動向をいちはやく

キャッチして伝えてくれる。そういった意味では蒙を啓かれることが多い。







11月号の天野慶の「短歌を売ること」も、意表を突かれた思いで読んだ。

孫引きになってしまうが、「あなたのために短歌を一首つくり、便箋に書いて

封筒でお送りします。--略」というもの。

タイトルに書かれているように、これは無料で送る訳ではない。「価格は僕の

年齢×100円です。--略」

そう、発案者は木下龍也だ。







こういったことに対して、おそらく反発もあるだろう。

色紙とか短冊に書いたのを売るのならともかく……といった良識派(笑)。

しかし、この木下のユニークさは、「あなたのために」(あなただけに宛てた歌)

と、いうことだ。従ってこの短歌はどこにも発表しません、ということらしい。








需要と供給のバランスがとれれば、この商売は成り立つだろう。

買う人も、売る人も納得済みの商売なのだから。



とはいえ、以前同じ「短歌人」で読んだ小池光の「編集室雁信」(9月号)での

ことばも頭の中にある。

        ーー略 歌集というものは売るものでも売れるものでもなく、

        差し上げるものである。少し分厚い名刺である。名刺だから

        差し上げて、それでなんの余得も欲してはならない。差し上げた

        未知の人から返事がきたりして嬉しいものだ。それで十分と

        思わねばならない。                   (小池)







もっともだと思う。

差し上げていて、礼状が来ないなんて思わない方がいい。

頂く側からすれば勝手に送って来たのだから、という論法も成り立つ。

たぶん、歌人のかたがたは、1年間にしたら相当数の寄贈本が来る

ことだろう。


そんなこんなで、考えたら木下方式 (?) は、合理的でもある。

お互いに納得済みで売買するのだから……


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