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2017年10月27日 (金)

『アネモネ・雨滴』 森島章人歌集  短歌研究社

1999年から2014年までの歌から330首を収録。

村木道彦氏の栞文を抄出して、帯文としている。

                         まるで無造作に

                    投げ出すように示された

                            体言の連打

                               「アネモネ・雨滴」には痺れた。

                       言語感覚の鋭さこそ

                                            この歌集の大きな

                         魅力なのである。

                                                                  村木 道彦










帯文に記されているように、「言語感覚の鋭さ」に酔わされてしまった

一集であった。比喩の斬新さは勿論だが、その修辞力にはただただ

懼れいる。

今野裕一氏の栞文の最後に書きしるしていた「媒介の手で汚さず、直接

読者に渡したい。」に、ならって私は歌のみを挙げることにしたい。










    雛罌粟(ひなげし)の揺るる向かうをしめらせて今宵阿修羅が足洗ふ音

    きみがきみでわたしがわたしである不思議 鏡の中から海があふれる

    天に唾吐く日も夜(よ)の翼降りくるとからくり時計の小鳥が告げる

    抽斗(ひきだし)に海をしまへば生きやすき少年といふもろき巻貝

    断つごとく断たざるごとく少年の裔(すゑ)の頭上にくだける霙(みぞれ)

    きみ照らすアネモネ通り西はづれ火を売る店を捜しにゆかむ

    アネモネ領 きみの瞳の奥にあり門ひとつなし北へと続く

    鉛筆は尖らせておく夜明け前するどき生の輪郭引かむ

    一本のアネモネあらば希望なる言葉かすかに雨滴のごとし

    暗きところをかすかに上(のぼ)りやがて咲くあなたの息がアネモネと

    言ふ







余談ながら、アネモネ(風の娘の意)はギリシャ神話に登場する妖精とか。

花言葉は、期待・待望・可能性。



             

                             栞  歌集『アネモネ・雨滴』について  村木道彦

                 「アネモネ領」とはどこにあるのか 吉田文憲

                 瞬の光芒                今野裕一




                 写真・装訂               間村俊一

                 口絵                   福山知佐子
                                 「風の薔薇 あねもね」

                           2017年9月26日  3000円+税

 

 

 

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