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2017年12月12日 (火)

『京都うた紀行』 河野裕子・永田和宏  文春文庫

『京都うた紀行』が、文庫本になっていたので買って来た。

「歌人夫婦、最後の旅」の副題が付いている。

この書の初出は、京都新聞の2008年7月〜2010年7月の2年間に

河野裕子さん25回、永田和宏さん25回の「京都歌枕」の連載だった。


この初回の連載が新聞紙上に載るのと前後して、河野裕子さんの乳癌の

転移・再発が告げられた。しかし、河野裕子さんはその連載の2年間を化学

療法と向き合いながら、頑張った。

そして、2年の連載が終わり、打ち明げの対談を終え、1カ月も経たずに

あの世へ旅立ってしまったのだ。(2010年8月12日逝去、享年64歳)


京都、洛中・洛東・洛北・洛西・洛南、そして滋賀の歌枕を訪ねて、足を運び、

その地にちなむ歌人の歌を取り上げ、二人も作品を寄せている。

「この人と一緒にここにくることはもう二度とない」の二人の思いをおもいつつ

読んでゆくと胸が締め付けられるような痛みと悲しみに襲われる。



      人には、生涯に一度しか見えない美しく悲しい景色というものが

      あるとすれば、あの秋の日の澄明な鴨川のきらめきが、わたしにと

      とってはそうだった。この世は、なぜこんなにも美しくなつかしいの

      だろう。泣きながらわたしは生きようと思った。     「賀茂川」

 

           来年もかならず会はん花楝(はなあふち)岸辺にけぶる

           このうす紫に              河野 裕子








       ーー略 誰にもすがることができず、為(な)すすべがなく、それでも

       生きていかなければならなくなった時、人には祈ることしか残って

       いない。ーー略                       「寂光院」

            みほとけよ祈らせ給へあまりにも短かきこの世を過ぎゆく

            われに                  河野 裕子



「河野裕子とともに  あとがきに代えて」の永田和宏さんの文中の言葉

「河野裕子はさまざまの大切なものを残してくれたが、この一冊も

その時間と空間を共有した思い出とともに、わたしには大切な一冊となった」

と記している。


                      解説 芳賀 徹

                      2016年1月10日 第1刷  660円+税 

 

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