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2018年6月 7日 (木)

「眩暈」 森本直樹    未来 2018年6月号

「未来」6月号を読んでいる。

シリーズ「今月の一人」は、森本直樹さん。

彼は、2017年度未来年間賞を受賞している。

その時の(2月号掲載)作品を改めて読みなおしたけど、

8名の推薦を受けて最高点だっただけに、作品がいい。

「いい」なんて、馴れ馴れしく言うのは憚れるが、若者の姿が

気負わず、自然体でうたわれていると思った。



     寂しいかと問われればきっと寂しくて身体は風を受けいれぬかたち

     洗剤をぶちまけて床磨きゆく雪の予報の京都のまちで

     フライパンの端のあたりで痩せていくよつ葉バターの長方形は

            静かに、静かに     森本直樹   「未来」 2月号




そして、今号(6月号)の9首。

森本スタイルは以前と変わっていない。

森本さんの歌は安心して(笑)読めるような気がする。

一つには、たぶん周囲の若者たちの歌に右顧左眄していないことだ。

作品に添えたエッセイで「今、私のうたは。自分自身でもいまいちぴんと

きていない。ーー略」と、書いているけど、無理に背伸びすることはない。

今の森本さんの歌が、森本さんなのだから…

 

 

     ローソンのおにぎりの棚がからっぽでなんだか午後を笑って過ごす

     歩くことに飽きてしまえば渡月橋のたもとで食べるみるくジェラート

     数回のまばたきの後に沈みたるカフェラテの泡にのせた砂糖は

     川底を桜が満たす空想のなかでゆっくり眩暈している

     露天風呂に吊るされているランタンの金具の錆を見上げるばかり

               眩暈       森本直樹  「未来」 6月号







ところで、岡井隆さんが休詠しているので、さびしいったらありゃしない。

月集欄のトップに掲載されていて、読むのがたのしみだったのに。

昨年の12月号の6首目の歌、あんな歌をふたたび読みたい。


     人生つて闘争でせう、仇敵との。さう言ひながら微笑んでゐた

             歌集は冬草    岡井 隆  「未来」 2017・12月号

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