『光の庭』 伊藤一彦 ふらんす堂
「この歌集は、ふらんす堂のホームページに、二〇一七年の一年間、
一日一首発表した短歌作品を収めたものである。(略)」
「あとがき」より
六月二十七日(火)
人言へる声の大きさ酒の強さ九州男児か肝(きも)小さけれど
東京の学生時代、出身を聞かれて宮崎だというと、九州
男児だなとよく言われた…(略)
七月二十七日(木)
花咲けば養分すべて使ひ果たし枯るる竜舌蘭のロゼット
日南海岸を行くと、フェニックスがまず目に入る。…(略)
八月二十七日(日)
長崎と宮崎の人似てゐると書きし本ありオホラカやノンビリが
博多から長崎新幹線で長崎へ。…(略)
一日一首、欠かさず発表し続けることは、並大抵のことではない。
エネルギーが必要だったことだろう。
体力・気力、そして持続力を己に課して。
伊藤一彦ファンには打って付けの短歌日記となっている。
歌もだが、その詞書には、伊藤さんの日常が窺える。
1首目「肝(きも)小さけれど」と、うたわれているけど、ほんとうかしらん。(笑)
2首目、この歌集には竜舌蘭や檳榔樹などが詠まれており、その描写には
独特の味付けがある。たとえば、「老いるほど肌(はだ)つやつやして
くるは人間ならず檳榔(びらう)樹の話」など。
3首目の詞書の「長崎新幹線」って知らなかった。もう完成してたの ?
伊藤さんには「若山牧水」というライフワークがあり、その牧水が本集にも
たびたび登場する。現歌壇ではもっとも活躍している伊藤さん。
素敵な「うたびと」の生を邁進していて、ただただ遠くよりそのご活躍を
仰ぎ見るのみである。
2018年6月9日
2000円+税
朝から竜巻注意情報が3度入る。
これから出掛けないといけないのに、鹿児島本線は「運転見合わせます。」
とかじゃないよね。遅延はしょっちゅうあるけど……
今日で4日連続のお出掛け、疲労がたまりつつある。 (AM: 9:45)
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