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2018年7月 3日 (火)

身は秋の  山下 翔   8日で800首キャラバン

昨年の8月はじめ、山下翔さんが1日100首製作のキャラバンに

出掛けることを知った。

8日間で800首作るとのこと、なんと無謀なと溜息が出た。

でも、若い彼ならやるかもしれないな、と、半分期待していた。

「道中、無事でありますように。元気で博多に帰ってくることが基本です。」

と、メールを入れた。

キャラバンに出掛ける直前に肺炎になった ?   と知り、いよいよその

キャラバンのことが気がかりだった。

ことし5月の末にそのキャラバンの冊子が届いた。

              身は秋の           150首

              重いやうな軽いやうな   400首

              胸をゆらして         800首



読みながら、涙が出て、先にすすめなかった。

なんでこんなに感情移入してしまうんだろうか、と。

たぶん、わたしは、私自身の息子のことを重ねて読んでいたからなのだろう。

働いて、働いて、唯一の楽しみが旅行のわが息子。

つれない母親であるわたし。


山下さんが、肺炎を押してキャラバンに出掛けた。

そして、その歌は、病を押して旅をしていた〈長塚節〉にも重なってみえた。

なるべく楽しい歌を引用したいと思いつつ、さて、どうだろうか。

 



   もうだれとも会はなくなつて草の匂ひ金属バットの匂ひなつかし

   サンダルの底の穴よりしみてくる京都の夜のぬたぬたと濃き

   まぶしさは秋の日差しにゆれてゐる風の感じの西本願寺

   風ゆれる米原駅のホームには大垣行きをひとつ見送る

   いつのまにかわたしもとんぼ揺れながらただよふ旅に逢ひたさは来る

   列車ひとつ発ちたるのちのホームにはわが身ひとつの身を伸ばしをり

   いまわたし太陽フレア駅前に木々の葉は揺れ陽はゆらぐかも

   秋の風おもひでふかく母呼べばちよつと待つてとなかなか出てこず

   唐揚げを食べてしまひし皿の上(へ)に塩はのこりぬ唐揚げはなし

   感情つてかういふことか秋の雲はとほくになるのにわが胸にもある

   母を呼び出し母を立たせて秋風にふるへる草とわれと見てをり

   力おとろへてゆるくなりゆく夏の雲だんだん視力うしなふやうな

   好きだつたマクドナルドもこのごろは行かなくなればかなしきものを

   風がむすんでゐた秋の雲ほどけつつうすいゆふやみのただなかに居り

   坂はいつも脚がおぼえてゐるものだ背中から陽のあたる坂みち




ことしも彼はキャラバンに出るのだろうか。

その前に(それよりも)第一歌集が読みたいよ〜

 

 

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