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2018年7月25日 (水)

歌集『午後四時の蟬』 竹内 文子  砂子屋書房

かつて「ゆにぞん」という短歌グループが名古屋(豊橋)にあった。

先鋭的なグループで、竹内文子・浜本芳子などを中心とした短歌誌で

ある。(この時期、羨望のまなざしで遠く眺めていたものだ。)



このたびの歌集で知ったことだが、「ゆにぞん」とは、岡井隆の歌集名

『斉唱』からとられている。音楽用語では「斉唱」は「ゆにぞん」なので、

浜本さんがこの方が響きが柔らかいうえ、どこかしゃれている、と提案した

そうだ。岡井さんも「うん、いいね。それにしよう。」と賛意を示している。



岡井隆という指南者が名古屋にいて、当時、名古屋は熱い風が吹いていた。

九州からも名古屋詣でをする人がいたくらいだ。


そんな訳で「竹内文子」という名前はわたしの頭の中にしっかりインプット

されていた。このたびの第四歌集を読んで先ず思ったことは、岡井さんも

この歌集の刊行を喜んでいるだろうな、ということだった。

読んだ歌に付箋を貼っていくたびに思ったことは、岡井隆の薫陶を受けて

いたことが随所に感じられたことだ。


     ちはやぶる秋の天使が降りて来る梯子をかけたままの林檎樹

     東京と三河の蟬では鳴き方がたしかに違ふと幼が言へり

     極楽も地獄もどつちつかずの身才太郎畑(さいたらばたけ)に

     鍬ふるわたし

     進歩なしさりとて退歩なきひと日夕凪どきは喘いでゐたり

     こねこねになつてしまつた会議ではをとこをみなも所詮は同じ

     脳機能は年相応の老化です。吹きつさらしの屋上庭園

     わたくしは雲でも富士でもとりあへずやたらと甘いもろこしを喰ふ

     窮極のやんちやキャラつて文具店の前に落ちてる消しゴムみたい

     熱中症にやられたわれにそんなことあつたのかよとカナカナが鳴く

     だんご虫にもいろめいろありて高貴なるやからはどれもだんご作らず


わたしが拙い感想を綴るより、どうぞ、味わってほしい。

「あとがき」に喜寿の後期高齢者です、などと書かれているが、どうして

どうして、この洒洒落落(しゃしゃらくらく)たるさま。

作者の〈生〉の充実ぶりが伝わってくる一集である。

3首目の「才太郎畑(さいたらばたけ)」などという言葉に初めてまみえた

     衝撃(笑)

5首目の「こねこね」という関西弁 ? の面白さ。

最後の歌の「だんご虫」の歌は、あるいは社会批判になっているやも知れま

せぬ。

                         2018年7月18日初版発行

                                3500円+税


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朝出の玄関でのいつもの会話

         「クーラーはつけなさいよ」

         「ハイ、ハイ、ハイ。」

         「返事は1度っ pout 」

         「はあ〜い」




つまり、奴の思惑は「トシヨリ」は暑さを感じないから、

クーラーをつけない、と思っているみたい。


             

暑いよ、ホントに暑いよ。

だけど朝の9時からクーラーなんて付けるのは、世の中の

人に対して申し訳ないような……

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