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2018年12月 4日 (火)

『北冬』 № 018 北冬舎

*特集*藤原龍一郎責任編集 [江田浩司]は何を現象しているか。

100ページ余りの特集である。

「北冬」の№018の上に印刷された「増頁総力奮努号」には、驚いた。

「奮闘」でなく、「奮努」って。

はじめて見た言葉だ。

40名近くの人たちが[江田浩司]について綴っている。

神山睦美・野村喜和夫・筑紫磐井氏をはじめとして、歌人・詩人・俳人の

名前が並んでいる。



このような1冊を短時間で読むことは到底出来ない。

出来ない時、それでも読みたい時にわたしのする方法はタイトルだ。


                永遠の青年             柴田 千晶

                (略)江田の歌集(散文詩も含む)七冊を通して読むと、「私」とは  

         何ものなのか。言葉とは何か。という文学の王道の問いを、

         直向きに求め続けている青年の姿が浮かんでくる。江田は

         永遠の青年だ。 

 


            江田さんの児童性         谷村はるか

              (略)山中智恵子とひとつになりたい、という思いがあふれでて

         いる。まるで恋する少年である。            

       (略) 捧げる相手によって、歌はその人の色に染まる。

 

 


            「言葉にいぢけた少年」のうた   富田 睦子

                 (略)山中の文体に似ていることに驚く。江田は非常に器用な

         作者であるが、ここまでくると、山中の深部へ近づき同化  

         しょうとするかのような接近である。

 


引用した谷村はるかさんと富田睦子さんと同じような見解を示し、

先行する歌人たちの文体の影響が色濃く感じられると書くのは、

中島裕介氏。プレテクストへの愛情の深さに言及している。


それにしても、江田さんにとってはこの特集号は、至福の一冊では

あるまいか。(北冬舎 舎主の柳下さんの力技に脱帽するのみ。)


2018年6月に刊行された『孤影』(ながらみ書房)は、八番目の創作集と

「あとがき」に書かれていたけど、この歌集は江田さんに「新しい詩歌の

神が魂の中に宿」った、と思ったくらいだ。


「江田浩司にとって、表現とは。」の藤原龍一郎氏の問いに対して、

            私の「生」の証にするべきもの


と、こたえていたのが印象深い。

                           2018年11月10日  

                            800円+税別


なお、歌集『孤影』(ながらみ書房 2018年6月刊)については、当ブログの

2018年7月2日にカキコミをしている。

その中でとりあげた歌の中から1首を。

 

          火の中にむち打つ音を聞きながらあゆみゆけるは孤影

          なりけり


 

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