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2018年12月28日 (金)

『あさげゆふげ』 馬場あき子歌集 短歌研究社

2015年(平成27年)11月から、2018年(平成30年)5月までの

作品を収めた27番目の歌集。

本歌集には平成29年11月3日に急逝された夫君の岩田正氏の挽歌も

収められている。

  山葵田の背(せな)のはんの木さやさやと風のやうなる水の音(ね)をたつ

  よき思案何一つなしただ明るき空にきてゐる新しき年

  ただ眠い春です油断するうちに猫にも虫にもなれさうな午後

  行動の早きもののみが生き残るこれが戦争と知りて走りき

  きみといふ人称少し似合はなくシャツうしろまへに着るうちのひと

  歌よみは歌を捨てれば知らぬ人おそろしけれど箴言ならん

  よはひとは祝はれにつつ死に到るものかな今年の牡丹は三つ

  晩年を生くるとは身を丁寧に消費すること木槿うなづく

  柿生坂にがてとなりぬ坂と藤とゆつくり対話させつつくだる

  長考し長考し見ゆるものありや一石を投ずるといふことの大きさ


前半より10首をあげてみた。

この歌集は、後半に岩田正氏の挽歌が収められており、そちらの方の

歌をあげると、本日のブログにはおさまり難い?ので、後半は年明けの

4日か5日に、と思っている。


あれこれとわたしが鑑賞するより味わってほしい。

『あさげゆふげ』という歌集題もさることながら、親しみやすく、平明で、

しかも、馬場さんの思索・精神生活が滲み出ている歌が多い。


かわったところでは、10首目の歌、

これは「椿山抄」の章の1首で、下記のような詞書が付いている。

    二〇一七年秋九月十二日、椿山荘にて第四十二期囲碁名人戦

    七番勝負第二回を観戦する。名人高尾神路に奪われた名人位を

    奪還するため井山裕太六冠挑戦す。


馬場さんといえば、囲碁もなさるかたで、『桜花伝承』・『雪鬼華麗』・

『月華の節』の中にも囲碁の歌が収められている。女性の歌人が

囲碁をうたうのも珍しい? のではないか。

かようにして、沈着・怜悧な面を持っている馬場さんだけど、歌が随分

やさしくなられた。


このところのわたしのモットーは「高齢者の歌に学ぶ」ということ。

歌を読むたのしみも勿論あるが、何らかの人生の示唆がありそう。

それでは、『あさげゆふげ』の後半部分は年が明けてからの続きと

いうことで…


     

このブログを読んでくださっていた皆様、ありがとうございました。

高尚なことが書けず、いつも忸怩たる思いをしつつ

綴ってきました。新しい年になったら少しは成長‥(は、出来ないでしょうね。)

皆様、どうぞ良いお年をお迎えくださいませ。    

                                                         miyoko

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