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2018年12月27日 (木)

歌集『水晶橋』 谷川 紀子  角川書店

「未来」岡井隆選歌欄の第一歌集。

歌集題となった「水晶橋」は、大阪・中之島の堂島川にかかっている

アーチ橋である。


   近江路のうすら紅葉のその向かう琵琶湖のひかりこきざみに照る

   夕光の土佐堀川の遊歩道バルデュソワール紅薔薇の咲く

   夕づきて水晶橋を渡るなりわれを押しつつ凍てたる風吹く

   生きるとは日々くり返すはかなごと使ひたる碗をていねいに洗ふ

   傍にゐる只それだけで充ちてゐし遥けき日々よ戻り得ぬ日々

   消印は遥かはるかの岩戸町いのちがありて絵葉書受くる

   あへぎつつ百一段をのぼり来て月読(つくよみ)神社に大吉を引く

   一人居の暮しになれて十九年淋しい時は花の手入れす

   老いてなほ生きる意味など捜すわれ貝母(ばいも)の花を籠に活けつつ

   八十歳(はちじふ)をこえて尚まだ生きてゆく未だ知りえぬわれに

   会ふため


谷川さんの歌を読んでいると心が和ぐ。

谷川さんの歌には湿っぽさがない。

谷川さんは、日々を十全に生きているように思える。


1935年生まれの谷川さん。

80歳を越えて尚、未知のわれを知りたいとねがう心。

今、ここにこうして生きているということを恩寵のように思っているのだろう。

独り暮らしも早や19年、自身の心の扱いかたも自得している。

                             帯文 岡井 隆

                             跋文 中川佐和子

                             2018年11月25日 初版発行

                                2600円+税


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秋以降の多忙が祟って、随分と読み残した本が積まれている。

歌集13冊、歌書他7冊。

結社誌も「目次」と「あとがき」を読むくらいに終わってしまった。

たいせつに編まれた書籍なのに、礼状も失礼してしまい、ごめんなさい。


昨日から今日と、カレンダーを掛け替え、お花を活けた。

松と千両と白菊・黄菊を活けたら、お正月を待つ心地になった。

旅に携える町田康と宮下奈都の本も購ってきた。


明日は大掃除。

そして、今年最後のブログに取り上げる歌集は、?   ?   ?

 

 

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