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2019年1月15日 (火)

文学批評『敍説』Ⅲ 15 花書院 

同人60名の名前が連ねている、これは、同人誌 ?

B5判の270ページから成る大冊である。

同人の名前は、二沓ようこ・坂口博・中西由紀子・久保田裕子・石川巧・

岩下祥子・松本常彦、等 多士済済。


今号の特集は「夏樹静子」。

その巻頭の二沓ようこの「夏樹静子の〈母と子〉の物語を読む」に

引き込まれた。

副題がー『蒸発』におけるウーマンリブと母性について

本誌分18ページをかけて論考している。

ゆっくり、じっくり読まねば理解しがたいというか、これは読み飛ばすには

惜しい論考である。(なぜだか、瀬戸夏子さんや、睦月都さんに読んでもらい

たくなった。)


       (略)

        ラストでも、美那子を思う主人公の耳に、「母性離脱」という

       ウーマンリブのシュプレヒコールが蘇えるシーンがある。自己を

       生かすため「母性から離脱」する風潮が極まるなかで、それに

       抗うように、自己を儀性にしてでも自分のなかの母性を呼び起こ

       そうとした美那子の生き方を美化する形で物語の幕は下りる。

 


夏樹静子の『蒸発』のラストであるが、改めて読んでみたくなった。

角川文庫・光文社文庫・双葉文庫でも出ている。

そして、二沓ようこの下記の考察に注視した。

 

       ウーマンリブは「母性から離脱」することを主張したのではなく、

      女は生まれながらにして母性的な存在である、母性は絶対的で

      崇高なものである、という母性幻想からの離脱を訴えたのである。


本書には「夏樹静子作品事典」も編まれ、100冊余りの著作の1ページ評

(紹介)が掲載されている。

周知のように夏樹静子は福岡市に在住していた関係で、福岡を舞台に

した小説が多い。わけても南区の若久団地では約7年間を過ごし、

此処で長男・長女を産み、夏樹静子のペンネームで執筆活動を再開して

いる。この若久団地に夏樹静子の記念碑があることをはじめて知った。

           なんきんはぜの

           葉音が聞こえる。

           目をあげれば

           背振の峰。

           私の心がいつも

           帰っていくのは、

           そこにあった

           こよなくも やさしい

           きらきらした日々ーー。

                   夏樹静子

 

それにしても、この「敍説」は、いい仕事(笑)をしている。

笑いごとではないよ。

 

                                  編集 敍説舎

                                2018・10・10 発行

                                  定価 1800円

 

 

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