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2019年2月24日 (日)

『怨歌集』 石田比呂志

  冬蜂の死に処なくいつぽんの素枯れし茎をのぼりゆくなり

  華麗なる夕日を乗せてゆく電車感傷主義(せんちめんたりずむ)は

  死後にもありや

  何かまだ一つ位はいい事があるかも知れぬ死にきれませぬ

  噴水はいたく静けくあがりけり夜の公園にわれは来たれば

  どなたさまもどうぞお構い下さるなわが魂の立ち直るまで

  おそらくは力はいらぬ部分にて力を出しているのかしれず

  ある時はさびしき思想に出遇うかな不許葷酒入山門

  三階の部屋より見えて向い家のポーチに冬の日が当りいる

  茎細く揺れいる冬の草花の可憐を甘やかしてはならぬ

  わが齢かたむきそめつおごそかに冬の光は樹の幹に差す



                         昭和48年3月28日刊

                             1500円

                         発行者 安仲光男

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