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2019年4月13日 (土)

『季刊 午前』 第57号 季刊午前同人会

特別企画「平成 思い出の場所」

 

   ひとつの年号が終わる。それは、記憶を思い出すきっかけになるかも

  しれない。それは、切れ切れの記憶を修復することになるかもしれな

  い。それは、書きかえられた過去になるかもしれない。そうして、それ

  は、忘れ去られる前のあいさつなのかもしれない。(略)

 

 

時宜を得た「特別企画」は、とても読み応えがあった。

何より評論の吉貝甚蔵の「その場所を今は 昭和喪失ーー平成へ」が、

本誌分18ページに及び、その考察には畏敬の念にも似た思いで読み終えた。

 

  (略)平成は1989年に1月に始まる。一週間の昭和を経て89年は平成になる。

  この年の社会的な出来事は、僕には「六四天安門事件」と「ベルリンの壁」

  である。

 


社会的な動きを軸に文学作品に触れて書かれてあり、集中の引用作品は十指に余る。

吉本ばななの『キッチン』・最果タヒ『死んでしまう系のぼくらに』・『長田弘

全詩集』等々。うまく読解できていないので、うまく紹介できないのが残念でもある。

兎も角読んでほしい。きっと何かを得る ? というか、「平成」という時代を摑むことが

できるかもしれない。

 

小説では、欅わたる「ヘイセイの居場所」を先ず読んだ。

この小説の掉尾には、わたしの好きな飯田蛇笏の俳句「魂の 例えば秋の 

ホタルかな」が引用されていた。

 

それにしても、吉貝さんも書いていたけど「年末に最も頻度が高かった言葉の

ひとつが〈平静最後の〉である。あらゆる事柄にこの言葉がもれなく付いてきた。」

みたいだ。短歌雑誌の後記などにもこの〈平成最後の〉が、枕詞みたいな遣われかたを

していたようだ。

 

そういえば、あと半月もすれば「平成」が終わってしまう。

 

                        発行日 平成31年3月31日

                        編集    季刊午前編集委員会

                        制作     (株)梓書院

                                                                     定価     800円+税

 

                          

 

 

 

 

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